AI時代は驚くべきスピードで到来しました。アジアの全域にわたり、世界でもまれに見るスピードで企業がイノベーションを起こしています。しかし、その成長に伴い、厳しい現実も立ちはだかります。それは、デジタルの未来の発展は、その周りに構築されるエコシステムのレジリエンスに左右されるということです。
『2025年のオブザーバビリティの現状』レポートからの最新の調査結果には、そのジレンマが明確に現れています。組織はAIの導入を急速に拡張したいものの、コンプライアンスへの期待、データガバナンス要件、絶え間ない変化に伴う運用負担によって制約を受けることが増えています。
問題は明白です。調査結果では、過去1年間でデータ漏えいの被害に遭ったと回答した組織の割合が66%にのぼり、そのうち約半数が、規制コンプライアンス違反があったことを認めています。これは、変化する規制に対応することがいかに難しいかを痛切に物語っています。また、データ管理の主な課題として、69%のITリーダーがコンプライアンスを挙げ、67%が過酷なデータ急増の管理に苦心しています。
急速なイノベーション、分散したツール、高まるコンプライアンス圧力が相まって、レジリエンスのギャップが生じています。今やレジリエンスは、災害復旧や稼働時間だけの話ではありません。顧客の信頼を維持し、ブランドエクイティを守り、国のデジタルインフラ基準を満たすということなのです。
つまり、レジリエンスは、AI経済における信頼の新たな通貨になったのです。
AI導入の大きな阻害要因の1つとして、データ品質が注目されています。Splunkのレポートでも、自動化、根本原因分析、戦略的意思決定でのAIの活用において、テレメトリの一貫性のなさ、不完全さ、ノイズの多さが妨げになっていることが指摘されています。シンガポールのSplunk Observability Cloud on AWSでは、一貫性があり忠実度の高いテレメトリを国内で提供することにより、確信をもってAI導入を拡大するために必要な信頼性の高いデータ基盤を実現しています。
これは、DevOpsチーム、ITチーム、エンジニアリングチームに対して、アプリケーション、サービス、インフラ全体にわたり、サンプリングなしのリアルタイムのインサイトを提供する点で、技術的なマイルストーンと言えます。同時にこれは、データ主権とコンプライアンスの義務を守ることにもつながります。
シンガポールの組織は、オブザーバビリティ機能を国内でホストすることで、データセンター、クラウドプロバイダー、重要なデジタルサービスの新たなレジリエンス基準と報告基準を定めた同国のデジタルインフラ法の要件に準拠できます。機密データを国内に保持しながら、特に銀行、医療、輸送などの基幹セクターでは事業の継続性を確保できます。
この管理オプションをシンガポールの組織に提供することで、Splunkとアマゾン ウェブ サービス(AWS)社の長年にわたるパートナーシップはさらに強化されます。そこには、組織が安全かつ責任ある方法でイノベーションを加速できるように支援するという共通のコミットメントがあります。取締役会議や政策議論でソブリンテクノロジーやソブリンAIが大きな注目を集める中、ローカルホスティングは組織に必要な確実性を提供してくれます。オブザーバビリティ、コンプライアンス、データ主権に関する義務を着実に果たしながら、AIを活用したイノベーションを極小のタイムラグで推進できます。
ただし、レジリエンスは、データの保存場所だけでなく、組織内での取り扱い方法にも左右されます。
『オブザーバビリティの現状』レポートの主な調査結果によると、アジア太平洋地域では、多くのチームが運用上の大きなストレス要因としてツールの分散を挙げており、その克服が喫緊の課題になっています。シンガポールだけでも65%が、ツールの分散がチームの意欲低下を招いていると回答しています。日本でも同様ですが、ほかの悪影響として、過剰なアラートやAI監視の複雑化も挙げられています。さらに、ニュージーランドでは52%が、アラート対応に必要以上に多くの時間を費やしていると回答しています。これで明確にわかるのは、ツールの分散はもはや国に固有の問題ではなく、地域全体でレジリエンス向上の阻害要因になっているということです。
ツールの分散により、検出と対応の遅れだけでなく、コンプライアンスレポートの作成が必要以上に複雑になるという問題も生じます。そこで重要になるのが、データへの統合的なアクセスです。すべてのデータを1つのシステムに集約するのではなく、統合では、データを物理的に移動することなく、分散するデータセットに安全にアクセスし、その場で分析できます。
たとえば、AWSでSplunk統合サーチを使用すれば、機密性の高いワークロードをローカルで管理しながら、グローバルな可視化により、データを集約することなく調査、監視、対応を迅速化するというかたちで、両方のメリットを得られます。
このアプローチは、国ごとに異なるアジア地域の規制環境に対応するうえで特に役立ちます。統合によって、各市場に固有の要件を満たしながら、グローバル規模のインサイトも獲得することで、コンプライアンスを制約要因からレジリエンスの促進要因へと転換することができます。運用面でのこの強みは、具体的なビジネス効果に直接つながります。

デジタル基盤のレジリエンスを強化することの具体的なビジネス価値は、すでに実証されています。調査では、OpenTelemetryを利用する組織の72%が、収益拡大にプラスの効果があったと回答しています。このことから、最新のオブザーバビリティ基盤がビジネスパフォーマンスの向上に寄与することは明らかです。
Splunk Observability Cloud on AWSを利用すれば、主権を維持した忠実度の高いテレメトリと統合アクセスモデルを基盤にレジリエンスを構築し、コンプライアンスを確保しながらパフォーマンスを高め、確信をもってAI導入を拡大できます。これらの要素が組み合わさり、レジリエンスエコシステムの核となります。
アジア地域全体で、先進的な政策、AIを活用したオブザーバビリティに対する業界の需要、イノベーションとコンプライアンスのバランスをとるためのパートナーシップが、足並みをそろえ始めています。優先事項は明らかです。レジリエンスは、後から付け加えるのではなく、デジタルインフラの基盤に最初から組み込むべきだということです。今このシフトを成し遂げた組織が、AI時代の信頼、継続性、イノベーションの基準を定めることになるでしょう。
このブログはこちらの英語ブログの翻訳、前園 曙宏によるレビューです。