Microsoft Teams Add-on for Splunkは、Microsoft Teamsの通話記録データをSplunkへ容易に取り込むためのAdd-onです。Microsoft社は、終了したTeams会議の通話記録データをMicrosoft Graph APIより提供していますが、当該Add-onはこのAPIから定期的に通話記録データを取得し、Splunkへ取り込みます。通話記録データには、Teams会議の参加者や使用された端末、通話時間などの基本的な情報に加え、会議中の音声や映像のジッターなど通話品質に関する情報も含まれています。Microsoft社が提供するAPIの刷新に伴い、弊社のPartner Field CTOであるJason Conger氏によってAdd-onのメジャーアップデート版(Version 2.0.0)が2025年3月にSplunkbase上でリリースされました。
Version 2.0.0へのメジャーアップデートによる主な変更点は、以下の3点になります。
以前のAdd-onでは、Teams会議が終了した際にその会議IDの通知の受信設定を定義するSubscription、実際に通知の受信処理を担うWebhook、通知を基にTeams会議の通話記録データ全容を取得するRESTクライアントなど、複数のコンポーネントをそれぞれ設定しテストする必要がありました。今回のアップデートによってこれらのコンポーネントが1つのコンポーネントに集約されたため、初期設定が非常に簡単になりました。
また、コンポーネントが減ったことでAdd-on全体として必要な権限も削減され、たった1種類の権限をMicrosoft Entra ID側から付与するだけでTeamsの通話記録データを取得できるようになりました。
機能面での改善もあり、かつてはAdd-on設定時以前に終了したTeams会議の通話記録データは取得できませんでしたが、新しいAdd-onはAdd-on設定時から最大30日前まで遡って通話記録データを取得できるようになりました。
Add-onの設定を始める前に、Add-onをMicrosoft Entra IDのアプリケーションとして登録します。登録が完了するとアプリケーションID(=クライアントID)とディレクトリID(=テナントID)が表示されるため、この2つの値を準備しておきます。また、アプリケーションのクライアントシークレットも作成し、クライアントシークレットの値も準備しておきます。
注意:クライアントシークレットの値は、クライアントシークレット生成直後のみ表示されるため、値を控える前に別の画面に遷移してしまった場合は、再度作成が必要です。また、クライアントシークレットは「シークレットID」ではなく、「値」に記載されている文字列になります。
クライアントシークレット生成後、作成したアプリケーションにMicrosoft Graphの以下の権限を付与します。
注意:アクセス許可を追加後、管理者の同意を与えることで、アクセス権限の付与が完了します。
ここから、実際にAdd-onの初期設定の手順を記載します。
以上で設定は完了となります。過去の通話記録データがある場合は、上記で設定したインデックス内をサーチし、Teamsデータが入っていることを確認してみてください。
サーチ文の例:defaultインデックス(main)をTeamsの通話記録データの保存先としている場合
Unset
index=main sourcetype="m365:teams:callRecord"
Splunkへのデータの取り込みを確認できない場合は、内部ログを確認し、Add-onからエラーや警告が出ていないか確認します。
サーチ文の例:Add-onの内部ログから当該Add-on関連のエラーや警告を探す場合
Unset
index=_internal sourcetype="*teams*" (log_level=ERROR OR log_level=WARN)
よくあるエラーメッセージとして、「_Splunk_ Could not get access token」というものがあります。これはClient ID、Client Secret、Tenant ID、およびEnvironmentのいずれかの値が間違っていることを示唆しています。アカウントオブジェクトとTeams Call Recordコンポーネントを確認し、正しい値が設定されていることを再度チェックしてみてください。
新しくなったMicrosoft Teams Add-on for Splunkは、Microsoft Graph APIからTeamsの通話記録データを自動で定期的に取得し、Splunkへ取り込む一連の作業を大幅に簡略化します。当該Add-onで取り込んだTeamsの通話記録データは、Splunkのデータプラットフォーム上で自由に分析できるだけでなく、Microsoft 365 App for Splunkと併用することで、追加の設定をすることなくTeamsの通話記録データをダッシュボードとして可視化することができます。Happy Splunking!
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。