ネットワークはすべてを見ています。すべてのログイン、すべてのデータ転送、そして防御をすり抜けようとするすべての不審なパケットも。
分散がますます進む今日のIT環境で、サイバーセキュリティにおけるネットワークの役割はかつてないほど重要になっています。攻撃対象領域が拡大し続け、サイバー脅威がますます高度化し、AIを悪用した攻撃が増加する中、ネットワークは、これらの脅威を検出するセンサーとして、また対応するエンフォーサー(執行者)として注目されています。
このブログ記事では、Splunkとシスコのエキスパートによるインサイトを掘り下げ、実際の統合のユースケースを取り上げながら、ネットワークを活用してリスクの軽減と対応時間の短縮を実現する方法を詳しく解説します。これは、ネットワークの誕生秘話、ネットワークがただのインフラからスーパーヒーローへと成長していく物語でもあります。
脅威は進化しています。そして、その標的となる環境もまた進化しています。
Splunkのシニア戦略アドバイザーであるCraig Saundersonが言うように、今日の組織は、複雑で極めて多様なIT環境で運用されています。ユーザーが複数の場所に分散し、異なるデバイスを使用するうえ、ITインフラがハイブリッド化する中で、デジタルレジリエンスの維持は一層難しくなっています。
サイバー脅威は増え続けています。重要なのは、攻撃の被害がどれだけ大きくても、多くの場合、その侵入経路は実に単純である点です。
実感してください。年間に公開される脆弱性(CVE)の件数は、10年前の6,500件から、今日では4万5,000件近くにまで急増しています。
その要因の1つは、攻撃対象領域の大幅な拡大です。攻撃者にとって、悪用できる脆弱性の範囲が以前よりもはるかに広がっています。たとえるなら、質素なビュッフェから、食べ放題のバイキングに変わったようなものです。同時に、組織では、従来のITシステムとハイブリッドシステムの統合が進み、リスクを軽減するだけでなく、絶えず変化する脅威に柔軟に対応するために、適応力を高めることが大きな課題になっています。
ここで理解しておくべきは、サイバー攻撃は常にネットワークに何らかの痕跡を残すということです。
マルウェア感染、データ窃取、ラテラルムーブメントのいずれでも、攻撃者は最終的に、ネットワークを使ってコマンドアンドコントロール(C2)との通信やデータ転送を行います。その点で、ネットワークは脅威を検出するための、他に類を見ない重要な観測ポイントと言えます。
電源が切られたり、改ざんされたり、データが消去される可能性のあるエンドポイントとは異なり、ネットワークトラフィックではすべての記録が維持されます。すべてのデバイス、ユーザー、システム、アプリケーションの動作を一元的かつ継続的に可視化できます。NetFlowデータ、DNSリクエスト、TLSハンドシェイク、パケットキャプチャなどから、異常な挙動や悪質なパターンを明らかにできます。
シスコのSD-WANエキスパートであるAaron Osborneは、この点を的確な言葉で言い表しています。
ネットワークは、一貫性があり信頼できるセンサーです。あらゆるやり取り、発信元から発信先までのすべてのトラフィックを把握しています。すべてのパケットが情報の一部なのです
この「Network-as-a-Sensor (センサーとしてのネットワーク)」モデルは、脅威の早期検出を可能にするだけでなく、認証ログ、VPNアクティビティ、システムイベントなどのテレメトリのパターンを相関付けることにより、詳細な調査にも役立ちます。
取り締まりを伴わない検出は、ノイズの抽出に過ぎません。そこで重要になるのが「Network-as-an-Enforcer (エンフォーサーとしてのネットワーク)」という概念です。これは、ネットワークで悪質なアクティビティを識別するとともに、ポリシーの適用や脅威のリアルタイムでのブロックも行うべきだという考え方です。
Splunkとシスコのソリューションを組み合わせれば、ネットワークの機能を強化できます。ネットワークに執行層としての役割を持たせ、MTTD (平均検出時間)、MTTR (平均対応時間)、MTTC (平均封じ込め時間)を短縮できます。たとえば、調査中に内部脅威が検出された場合(攻撃者が正規ユーザーの認証情報を悪用しているなど)、ネットワークポリシーによって、侵害されたデバイスを隔離し、ラテラルムーブメントによる拡散をすばやく阻止できます。Splunkとシスコの組み合わせには、テレメトリデータを統合して、より詳細な可視化と自動化によるスマートな対応を実現できるメリットもあります。Splunkの強力な分析とシスコとの統合を組み合わせることで、ネットワークを、プロアクティブな検出と迅速な修復の両方を行うための拠点にできます。これにより、ネットワークは、受動的な観察者から積極的な防御者へと進化します。
ネットワークデータを最大限に活用するには、データを統合して効果的なアクションにつなげる必要があります。そこで役立つのが、Cisco Enterprise Networking App for Splunkです。このソリューションを使えば、すべてのシスコ製品で収集されたテレメトリをSplunkの単一のインターフェイス内にまとめることで、データの取り込み、相関付け、分析の複雑なワークフローを簡素化できます。
たとえば、Alfredというユーザーから、アプリケーションにアクセスできないという問題が報告されたとします。セキュリティチームは、Enterprise Networking Appと連携するSplunkダッシュボードで、以下の対応ができます。
調査によって、Alfredのデバイスがセキュリティ対策の不備のために検疫ポリシーに違反していることがわかりました。そこで、Alfredのデバイスを隔離し、修復措置を講じました。これにより、Alfredが業務を続けられるようにすると同時に、脅威がネットワーク内で拡散するリスクを最小限に抑えることができました。
今日のセキュリティ運用の中心となるのは、TDIR (脅威検出、調査、対応)です。Splunkとシスコは、このプロセスをサポートするために、以下の重要な4つの柱に重点を置いています。
すべてのデータをSplunkに集約するのではなく、適切なデータを適切な場所で利用できるようにします。たとえば、以下のように使い分けます。
分析では、業界固有のリスクと攻撃者の行動に基づいて脅威をモデル化することが重要です。
たとえば、リテール(小売)企業の場合は、内部者による知的財産の窃取の検出を優先し、製造企業の場合は、ランサムウェアの防止に重点を置くといった対応が考えられます。
増加の一途をたどる脅威に対応するには、定型作業を自動化することが必須です。たとえば、Splunk SOARのフィッシング対応ワークフローでは、インシデントの最大60%を自動修復できます。これにより、アナリストは、より優先度の高い脅威への対応に集中できます。
Splunkでは、リスクベースアラートやアノマリ検出など、可視化と予測を強化するためにAIを活用した機能を利用できます。事前構築済みの機械学習モデルを使って、DNSトンネリング、C2トラフィック、マルウェアの挙動と関連するパターンをより効果的に検出することもできます。
Splunk ES、Splunk SOAR、Splunk Threat Analyzerを組み合わせることで、マルウェア分析のような時間のかかるタスクを自動化できます。その仕組みは以下のとおりです。
ある事例では、フィッシング攻撃で悪意のあるSVGファイルが使われましたが(増加傾向にある攻撃手法です)、Splunk Threat Analyzerによって、ファイルに埋め込まれたJavaScriptが検出され、C2トラフィックにフラグが立てられたため、SOCは未然に対応して被害を回避することができました。
Splunkとシスコを活用してTDIR能力を強化するためのポイントは以下のとおりです。
Splunkとシスコの相補的な強みを活かせば、検出の迅速化、調査の効率化、対応の自動化を実現して、組織のセキュリティを維持できます。