「ロボティックプロセスオートメーション(RPA)」と聞くと、たくさんのロボットがそれぞれの作業を行って何かの製品を作り出す製造ラインを思い浮かべるかもしれません。しかし、RPAはそのような想像をはるかに超えたものです。
この場合の「ボット」はAIを利用したソフトウェアを指し、今日使用されているあらゆるシステムを、人間が行うのと同じように操作することができます。AIを活用したOCR(光学文字認識)の画面読み取り機能を利用することで、時間がかかるうえにエラーが発生しやすい反復作業をRPAに行わせることができます。RPAは、ビジネスプロセスにおける反復作業のコスト削減に役立ちます。また、Splunkの新しいRPAソリューションを導入すれば、削減したコストの詳細を把握し、RPAワークロードのオブザーバビリティを確保できます。
Gartner社やForrester社のような市場調査会社の試算によれば、RPAの市場規模は2025年までに250億ドルに達し、41.3%のCAGR (年平均成長率)が見込まれると言われています。RPAテクノロジーを適用できるユースケースは幅広く、製造、小売り、ITのみならず、ヘルスケア、行政・公共機関、銀行や金融サービスなどにまで及びます。
"このインサイトは、RPAソフトウェアツールの市場動向を調査したForrester社の最新レポートの主要テーマの1つです。レポートによれば、この市場は力強い成長が見込まれており、2021年には139億ドルであった収益が2025年には220億ドルにまで押し上げられると予想されています"
出典:https://venturebeat.com/2022/03/08/pandemic-pushes-growth-in-robotic-process-automation-marketplace/
Gartner社とForrester社はともに、UiPath社のビジョンの完全性と実行能力を評価してRPA市場のリーダーと位置づけています。Splunk App for Robotic Process Monitoring (RPM)の現行リリースではUiPathがサポートされており、UiPath APIによる完全クローズドループ型のデータ取り込み機能が提供されています。拡張性に優れたリアルタイム機能を活用することで、Splunkインデックス内のデータに基づいてUiPathのアクションを直ちにトリガーできます。これには、ボットやジョブの再起動、さらには任意のイベントに基づいた新規の自動処理の開始などが含まれます。
フォーチュン500に名を連ねる企業はいずれもRPAの導入を開始し、ビジネスプロセスの自動化と効率化に取り組んでいます。Splunkは、導入した重要なシステムの稼動状態を確保しながら継続的に規模を拡大できるよう、価値の高いソリューションを提供しています。設定の完了までに30分とかからず、すぐに使えるビジュアルダッシュボードとアラートで、RPAボットのトランザクションを監視できます。
ユーザーに応じた適切なデータビュー
SplunkのRPAソリューションは、CIO、IT運用担当者、RPA Circle of Excellence (CoE)、セキュリティチームなどのあらゆる担当者の観点からの疑問に答えることができます。
CIO (最高情報責任者)
- RPAに投資することで、どのくらいの作業時間を節約できるのか?
- インテリジェントな自動化によって、どのくらいコストを削減できるのか?
- RPAによる効率化を活用している事業部門やチームの数は増えているか?
- プラットフォームは最大限に活用されているか?追加の投資が必要か?
RPA CoE (Circle of Excellence)
- 現在、いくつのボットを実行しているか?
- そのうちのいくつのボットが例外としてエラーをレポートしているか?
- どうすればより多くのチームに自動化とそのベストプラクティスを提案できるか?
- RPAプラットフォームは安定的に実行されているか?さらに自動処理を追加することができるか?
IT運用
- ロボットを実行するためのクラウドインスタンスやVDIのサイズは適切にプロビジョニングされているか?
- RPAの規模拡大に合わせて適切にキャパシティプランニングを行っているか?
- ロボットのネットワーク接続が確保され、すべてのターゲットシステムにアクセスできているか?
- RPAデータベースの規模が適切で、信頼性が確保されているか?
セキュリティ
- ボットのセキュリティが侵害されていないか?新たな攻撃対象へのアクセスが試行されていないか?
- ボットの動作に関する詳細な監査証跡を確保できているか?
- 各ボットはどのレベルの権限を持っているか?その中に権限レベルを昇格させたものがあるか?
- ボットはユーザー名/パスワード、動的トークン、IAM、IdPのどれを使用しているか?
ボットは人間のユーザーと同じように対象システムを操作するため、同じレベルの監査およびセキュリティを適用する必要があります。Splunk/UiPathのお客様の中には、1日に何千ものボットを使用して自動処理を実行している企業もあります。Splunk Cloudの実績ある大規模なリアルタイム機能でUiPath環境を監視すれば、適切な担当者が適切なデータを入手し、的確な意思決定を行えます。
Splunk App for RPMの機能
1) すべてのボットの情報を集約して環境の全体像を把握/個々のボットを選択して詳細情報を取得
Splunk App for RPMでは、追加設定なしでUiPath環境に関する数多くのディメンション(ボット、キュー、ジョブ、例外など)を取得できます。すべてのデータが、他のデータポイントと相関付けられて時系列で表示されます。これにより、わずか3回たらずのクリックでどんな問題も見つけ出して修正できます。Rawログに至るまであらゆる統計情報が提供されるため、開発者は迅速に修正を行うことができます。
図1-1. Splunk App for RPM (Robotic Process Monitoring) - CoEボットインサイトダッシュボード
2) 期間を細かく指定してボットをドリルダウン
Splunk App for RPMのズームイン機能により、CoEインサイトページから任意のボットを選択して、ボットの問題の原因となり得るシステムリソース(CPU、メモリー、ディスクなど)を簡単に相関付け、30分ごとのエラーカウントにRPA例外アノテーションを重ねて表示できます。時系列のタイムピッカーを調整することで、該当期間にUiPathから送られた詳細なメッセージを確認することもできます。
図1-2. Splunk App for RPM (Robotic Process Monitoring) - ボットのドリルダウンウィンドウ
3) UiPath API用のアラートアクション機能によるデータに基づいたアクション
Splunkで特定の種類のデータが見つかった場合には、Splunk App for RPMのカスタマイズ可能なアラートアクションをトリガーし、情報を適切に伝達してデータを行動へとつなげることができます。エラーまたはキーと値のペアなどのデータに基づいて、リスタートやリブート、新しい自動処理などのアクションをUiPathで実行できます。この強力な機能により、レベル1の修復プレイブックをトリガーしたり、UiPathジョブでアクションを実行するようにチャットやメールを通じて担当者に連絡したりするなど、幅広いユースケースに対応できます。
図1-3. Splunk App for RPM - UiPath APIのアラートアクション
Splunk App for RPMは、Splunkbaseからダウンロードして、Splunk CloudまたはSplunk Enterpriseにインストールできます。
まとめ
RPAはテクノロジーリーダーが取り組むデジタル化の最優先事項です。変化を続ける仕事環境をサポートし、顧客に最高のデジタルエクスペリエンスを提供するというニーズが高まるなか、RPA市場の規模はますます拡大するでしょう。フォーチュン100社のうち95社がSplunkを利用し、日々膨大なデータを取り込んで、リアルタイムでインサイトを引き出しています。Splunk App for RPMは、RPA監視のための最高レベルのデータバックエンドであり、他のソリューションにはない独自の機能を提供します。
自動化のニーズが高まるなか、Splunk App for RPMを活用することで、変化し続ける仕事環境に対応すると同時に、新たなデジタルエクスペリエンスを顧客にもたらすことができます。
次のステップ
Splunkの「データをアクションにつなげる」プラットフォームは、あらゆるUiPath環境を補完することができ、追加の設定をほとんど行わずに使用を開始できます。既にSplunk CloudまたはSplunk Enterpriseをご利用のお客様は、このAppをインストールして、こちらのドキュメントに沿って2つのデータソースを設定してください。UiPathをご利用のお客様で、監視のためにSplunkのAppをお試しになりたい方は、Splunk Cloudのトライアル版を入手してからSplunk App for RPMをダウンロードしてください。