Splunk AppDynamicsはビジネスパフォーマンスと関連付けられたフルスタックのオブザーバビリティを実現し、ハイブリッド環境でもオンプレミス環境でもアプリケーションのパフォーマンスを最適化します。

IT環境のあらゆる部分でオブザーバビリティを確保
LSEでは、データの増加や変化とともに、データベースソフトウェアのパフォーマンスが低下し、学生や教職員向けの重要なサービスに遅れが生じるようになりました。以前は瞬時に表示されていたWebページの読み込みに最大で15秒もかかるようになり、遅延が許容できないレベルに達していました。そこで、AppDynamicsを導入して調査したところ、ボトルネックの原因がデータベースクエリーの問題にあることがわかり、そのコードを少し修正するだけで遅延を解消することができました。
「干し草の山の中の針も、金属探知機があれば簡単に見つかります。AppDynamicsは私たちにとってまさに金属探知機です」とAlexander氏は言います。「システムの奥深くに潜む手強い問題の原因を、コード内で簡単に見つけられるようになりました」
海外、特にアジア地域の学生がブラウザからアクセスする際にパフォーマンスが頻繁に低下する問題もAppDynamicsによって解決しました。オンラインサービスとアプリケーションのエンドユーザーを監視することで、遅延の根本原因が、これらの遠隔地から要求されたデータやコンテンツの配信の遅れにあることがわかりました。このインサイトをもとに、分散型コンテンツ配信ネットワークを導入して遅延を解消しました。
エラーゼロでサービスを超高速化
履修科目の選択は、LSEの学生と教員にとって重要なイベントです。毎年、数千人の学生が希望の科目を履修するために登録開始を心待ちにしています。しかしLSEでは、学生数の増加、カリキュラムへの科目の追加、データベースへの負荷の増大によって、当時のシステムではこの年1回の需要急増に対応できなくなり、不満が生じていました。
この問題を解決するために、Alexander氏のチームはまず、一度に100人の学生が履修登録する状況をシミュレートしました。その際、AppDynamicsで作成した独自のダッシュボードで、データベースのパフォーマンスが低下する原因を調べました。このダッシュボードには、CPU使用率、データリクエスト数、1分あたりのエラー件数、データベース接続の呼び出し回数など、LSEのIT環境全体から収集した重要なパフォーマンスメトリクスが表示されます。
その結果、学生が複数の科目を登録しようとすると、登録プラットフォームが、必要なすべてのデータベース呼び出しを同時に実行しようとしてボトルネックが発生していることがわかりました。AppDynamicsのAPMから導出したこのインサイトに基づいて、登録処理を一度に1科目ずつ実行するようにコードを書き直しました。これにより、登録処理が一瞬で完了するようになりました。もう1つ重要な点として、以前は登録時に学生側で数百件のエラーが発生していましたが、修正後はエラーがまったく発生しなくなりました。
「数千人の学生が一斉に登録しようと待ち構える中、エラーゼロでサービスを提供できたのは私たちの誇りです」とAlexander氏は評価します。「これはAppDynamicsがなければ実現できなかったでしょう」
セキュリティもガバナンスも強化
セキュリティ面では今後、Cisco Secure Applicationを導入してデータの監視とガバナンスを強化する予定です。LSEでは現在、業務用アプリケーションで複数のオープンソースライブラリを使用していますが、そのいくつかがサイバー攻撃の格好の標的になっています。Cisco Secure Applicationがあれば、サーバーで実行されているプロセスを把握し、外部からの脅威に特に脆弱なプロセスを洗い出すことができます。
「静的解析ツールはアプリケーションの構築や展開時には便利ですが、サーバーで日々実行されているプロセスを確認することはできません」とAlexander氏は説明します。「Cisco Secure Applicationならそれができます。このソリューションでどれだけの成果を達成できるか楽しみです」
LSEでは長年、ITシステムやエンドユーザーエクスペリエンスを最適化する際に勘と推測に頼ってきました。何十年にもわたってシステムを独自に構築してきたにもかかわらず、AppDynamicsでITプロセスを詳細に監視し始めるまでシステムはブラックボックスの状態でした。
「ブラックボックスの内部を可視化し、プロセスごとに分解して、パフォーマンスの問題を根本から解決する必要がありました」とAlexander氏は言います。「AppDynamicsのおかげでオブザーバビリティを確保し、学生に優れたエクスペリエンスを提供するとともに、学生の個人データを確実に保護できるようになりました」