2010年にリリースされたMicrosoft Azureは、市場をリードするクラウドプロバイダーの1つで、現在フォーチュン500企業の85%で利用されています。また、グローバル企業の約56%が、Microsoft Azureを優先クラウドサービスプロバイダーとして利用しています。
この記事では、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワークなどのAzureサービスについて説明し、Azureサービスが提供するメリットについて詳しく解説します。
Azureサービスとは
約10億人のアクティブユーザーを抱えるAzureは、さまざまな業界の幅広いニーズに合わせてカスタマイズされた、多種多様なクラウドサービスを提供しています。現在Azureが提供しているクラウドサービスは、PaaS (Platform as a Service)、SaaS (Software as a Service)、IaaS (Infrastructure as a Service)ソリューションを中心に、200種類を超えています。また、これらのコアサービスに加え、次のような多くの追加サービスを提供しています。
- 機械学習(ML)
- 分析
- IoT
- 移行
- データ管理とガバナンス
- セキュリティ
- 開発とインテグレーション
クラウドコンピューティングサービスモデルに基づくAzureサービスのカテゴリ
すべてのAzureサービスは、そのサービスで利用されるクラウドコンピューティングサービスモデルに基づいて、次のカテゴリに分類できます。
PaaS (Platform as a Service)
PaaSは、ソフトウェアアプリケーションの開発とデプロイに必要なリソースを提供するクラウドベースのサービスモデルです。ソフトウェアアプリケーションの開発ライフサイクル全体をサポートすることで、インフラストラクチャの管理を不要にします。PaaSは従量課金制であるため、ユーザーは必要に応じてAzureのリソースを購入し、インターネット経由で安全にアクセスできます。
主要なAzure PaaSクラウドサービスには、次のようなものがあります。
- 開発:App Configuration、Azure Chaos Studio、DevTest Labs、Load Testing、Microsoft Dev Box
- データベース:SQL Database、Apache Cassandra MI、Database for MariaDB
- コンピューティング:App Service、Azure Batch、Azure Functions、Cloud Services、Container Apps
- インテグレーション:API Management、Logic Apps、Service Bus
SaaS (Software as a Service)
Azure SaaSは、ユーザーがメール、カレンダー、オフィスツールなどのクラウドベースのアプリケーションにアクセスし、利用できるようにするサービスモデルです。これにより、組織は最小限のコストでアプリケーションを迅速にデプロイできます。インフラストラクチャやミドルウェアといったハードウェアやソフトウェアの管理は、Azureがユーザーに代わって行います。そのため、アプリの高可用性とセキュリティが確保されます。
Azureが現在提供しているSaaSサービスは、次のとおりです。
- 分析:Data Catalog、Power BI Embedded
- 開発:Azure DevOps、Visual Studio App Center
- IDとセキュリティ:Defend for Cloud、Information Protection、Microsoft Sentinel
- IoT:IoT Central
- 管理とガバナンス:Azure Advisor、Azure Arc、Azure Backup
- 移行:Azure Migrate、DB Migration Service、Site Recovery
- ネットワーク:Azure Orbital、Internet Analyzer
- ストレージ:Data Share
IaaS (Infrastructure as a Service)
IaaSは、コンピューティングやストレージなどのクラウドリソースをオンデマンドで提供するクラウドサービスモデルです。また、従量課金制モデルを採用しているため、さまざまなワークロードやトラフィックに応じてリソースを柔軟に拡張できます。これにより、組織は変化するユーザーニーズにすばやく対応し、インフラストラクチャの信頼性を向上させることができます。
Azureが現在提供しているIaaSサービスは、次のとおりです。
- コンピューティング:Azure VMware Solution、Dedicated Host、Virtual Desktop、Virtual Machines、Virtual Machine Scale Sets
- ストレージ:Azure Storage、HPC Cache、Managed Disks
- ネットワーク:Azure Firewall、ExpressRoute、Load Balancer、Network Watcher、Private Link、Traffic Manager、Virtual Network、Virtual WAN、VPN Gateway
Azureの基本、メインストリーム、戦略的サービス
Azureサービスはさらに、基本サービス、メインストリームサービス、戦略的サービスに分類されます。これらのサービスの分類にあたっては、Azureの推奨リージョンと代替リージョンでの可用性が考慮されています。
基本サービス
Azureプラットフォームによって提供される必要不可欠なサービスまたはコアサービスです。基本サービスは、すべての推奨リージョンと、そのサービスが一般提供されているすべての代替リージョンで利用できます。さらに、新しく導入された基本サービスは、一般提供から90日以内に、すべての推奨リージョンと代替リージョンで利用できるようになります。
基本サービスの例としては、次のようなものがあります。
- Azure Application Gateway
- Azure Backup
- Azure Cosmos
- Azure Event Hubs
- Azure Virtual Machines
- Azure VPN Gateway
メインストリームサービス
メインストリームサービスは、すべての推奨リージョンで利用し、デプロイできます。推奨リージョンで一般提供されてから90日以内に利用できるようになります。なお、代替リージョンで利用できるかどうかは、そのリージョンでの顧客の需要に応じて決定されますが、すでに多くの代替リージョンでリリースされ、提供されています。
メインストリームサービスの例としては、次のようなものがあります。
- Azure API Management
- Azure Container Registry
- Azure Functions
- Azure Private Link
- Azure Virtual WAN
戦略的サービス
戦略的サービスは、かつて「専門サービス」と呼ばれていました。特定の業界に固有の要件を満たすように設計され、その業界に関する詳細な知識に基づいて開発されています。これらのサービスは、カスタマイズされたハードウェアを活用して、パフォーマンスの強化や独自の機能を実現します。また、これらのサービスはリージョンごとに顧客の需要に応じて提供されます。すでに多数のサービスが推奨リージョンの多くでリリースされ、利用可能になっています。
戦略的サービスの例としては、次のようなものがあります。
- Azure API for FHIR
- Azure Lab Services
- Azure VMware Solution
- Azure Applied AI Services
- Azure Machine Learning
- Azure Red Hat OpenShift
- Azure Kubernetes
Azureサービスの種類
Azureは、さまざまなクラウドサービスを提供することで、組織がクラウドコンピューティングインフラストラクチャの力を活用できるよう支援しています。これらのサービスは、組織が自社のアプリケーションとデータの革新、拡張、保護を実現できるように、さまざまなビジネスユースケースをサポートしています。Azureが現在提供しているクラウドサービスの種類は、次のとおりです。
- AI (人工知能)と機械学習
- 分析
- CDN (コンテンツ配信ネットワーク)
- コンピューティング
- データベース
- 開発
- IDとセキュリティ
- IoTとMR (複合現実)
- インテグレーション
- 管理とガバナンス
- メディアとコミュニケーション
- 移行
- ネットワーク
- ストレージ
Azureのコアサービス
このセクションでは、Azureのコアサービスについて説明します。
Azureコンピューティングサービス
Azureコンピューティングサービスを使用すると、アプリケーションとワークロードをクラウドでデプロイ、管理、スケーリングできます。Azureが提供しているコンピューティングサービスには、次のようなものがあります。
- Azure App Service:.NET、.NET Core、Node.js、Java、Python、またはPHP言語を使用して、コンテナ、Windows、Linuxで実行するWebアプリケーションやAPIを簡単に作成、デプロイ、スケーリングできます。
- Azure Functions:このサーバーレスプラットフォームは、プログラミング言語を使用する開発を簡素化し、迅速な開発を可能にします。
- コンテナインスタンス:基盤となるインフラストラクチャを管理することなくコンテナを実行する手段を提供します。このサービスを利用すると、コンテナオーケストレーションプラットフォームを設定したり管理したりせずに、Azureでコンテナを起動できるようになります。
- 仮想マシン(VM):WindowsまたはLinuxの仮想マシンをクラウドで作成して実行できます。
Azureストレージサービス
Azureストレージは、スケーラブルで安全なストレージオプションを組織に提供します。たとえば、次のような機能があります。
- Azure Data Lake Storage:ビッグデータ分析のワークロード向けに設計されています。そのため、大量の構造化データ、半構造化データ、非構造化データを保存および分析できます。
- HPC Cache:ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のワークロード向けにデータをキャッシュできます。計算集約型アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、遅延を低減する目的に特化して設計されています。
- Managed Disks:重要なAzure Virtual MachinesおよびAzure VMware Solutionアプリケーション向けに、高性能なブロックストレージを提供します。Ultra Disk Storage、Premium SSD、Standard SSD、Standard HDDなど、コストとパフォーマンスを最適化するためのさまざまなディスクオプションが用意されています。
Azureデータベースサービス
クラウド内でデータベースを簡単にデプロイ、管理、スケーリングするためのマネージドデータベースを提供します。Azureで提供しているコアデータベースサービスには、次のようなものがあります。
- Apache Cassandra MI:ミッションクリティカルなワークロードを優れたコスト効率でスケーリングし、柔軟な管理と高い可用性を実現します。
- Azure Cosmos DB:PostgreSQL、MongoDB、Apache Cassandraをサポートするフルマネージド型のサーバーレス分散データベースです。
- Redis Cache:メモリー内ストレージを提供して、データアクセスを高速化します。
- Azure Database for MySQL:高度なセキュリティ機能、高可用性オプション、および信頼性の高いSLAを備えた、コスト効率の高いソリューションです。
Azureネットワークサービス
Azureネットワークサービスは、組織がAzureクラウド環境でネットワークインフラストラクチャを構築、管理、保護するためのネットワークソリューションを提供します。Azureで提供しているコアネットワークサービスには、次のようなものがあります。
- Application Gateway:Webアプリケーションファイアウォール、さまざまなAzureサービスのインテグレーション、エンドツーエンドのSSL暗号化、レイヤー7インテリジェントルーティング、SSLオフロード、証明書管理の一元化などを実行できる機能を備えています。
- Azure DNS:DNSホスティング機能を提供します。
- ExpressRoute:Azureデータセンターと、オンプレミス環境またはコロケーション環境のインフラストラクチャとの間で、プライベート接続を実現します。
- Private Link:仮想ネットワークとAzure PaaS (顧客の所有またはMicrosoftパートナーのサービス)との間でセキュアなプライベート接続を確立することで、ネットワークセキュリティを強化し、アーキテクチャを簡素化します。
Azureサービスのメリット
- 需要に応じてリソースをスケールアップまたはスケールダウンできるため、さまざまなワークロードやトラフィックに対応できます。
- コスト効率の高い従量課金制モデルにより、実際の使用量に基づいてリソースコストを最適化できます。
- Azureが基盤となるインフラストラクチャを管理するため、組織はアプリケーション開発やビジネスロジックに集中できます。
- Azureが提供する包括的で充実した開発環境により、開発者は継続的インテグレーションおよびデプロイのワークフローを実現できます。
- AIや機械学習、ビッグデータ分析、IoT、ブロックチェーンなど、先進的な幅広いサービスを利用できるため、イノベーションを促進できます。
- 強力なセキュリティとコンプライアンスのソリューションが提供されるため、データを保護し、規制要件に対応できます。
- 優れたアプリケーションデプロイ機能により、低遅延でパフォーマンスの高いアプリケーションをデプロイできます。
- 既存のリソースを活用して、オンプレミスとAzureクラウドプラットフォームをシームレスに統合できます。
まとめ
Microsoft Azureは、PaaS、SaaS、IaaSソリューションを含む200種類以上の幅広いクラウドサービスを提供しています。Azure PaaSサービスはソフトウェア開発ライフサイクル全体をサポートし、Azure SaaSソリューションはクラウドベースのソフトウェアアプリケーションへのアクセスを可能にします。また、IaaSサービスはオンデマンドのコンピューティングリソースを提供します。Azureのコアサービスには、コンピューティング、ストレージ、データベース、およびネットワークなどがあります。さらに、AIと機械学習、分析、IoT、移行、データ管理、ガバナンス、セキュリティ、開発、インテグレーションなどの追加サービスも用意されています。
このブログはこちらの英語ブログの翻訳です。