AWS re:Inventに技術コミュニティが集うなか、AIの未来を形作る2人のリーダーによる独占対談をお届けできることを大変嬉しく思います。この対談では、シスコ傘下のSplunkでAI担当VP兼責任者を務めるHao Yangと、アマゾン ウェブ サービス(AWS)社でエージェント型AI担当プロダクトリーダーを務めるBill Fine氏に語っていただきます。
re:Inventでは、クラウドイノベーションに焦点が当てられました。これを踏まえ、本対談では、SplunkとAWSの戦略的な提携によって、組織がデータ、モデル、運用の潜在力をいかにして最大限に引き出せるようになるかを探ります。それはすなわち、組織がAIによる成果を加速させ、将来を見据えた強靭でインテリジェントなシステムを構築できるようになることにほかなりません。
SplunkとAWSの長年にわたるパートナーシップによって、共通の顧客向けのAI機能はどのように進化してきましたか。また、変革をもたらすAIイノベーションを推進するうえで、どのような戦略分野を重視していますか。
Hao Yang:SplunkとAWSのパートナーシップは今では13年以上にも及んでいます。その基盤には共通のビジョンとして、お客様がAIを大規模に活用して確かな成果を出せるよう支援するという理念があります。このパートナーシップで重視してきたのは、お客様のために、セキュリティ、オブザーバビリティ、クラウド運用の各分野で革新的な変化をもたらすことです。
その協業の中核をなすのは、AIイノベーションを支える信頼性と拡張性を備えたデータ基盤です。つまり、Splunkの膨大なマシンデータの取り込みと分析の能力に、AWSの堅牢なクラウドインフラを組み合わせることで、信頼性の高いデータを確実に利用できるようにするとともに、大規模なイノベーションにすぐに活かせるようにしています。これによって、お客様は最も価値の高いデータの可視性をリアルタイムかつ検索、アクセス、活用しやすいかたちで実現し、データの価値を最大限に引き出せるようになります。
また、私たちはリアルタイムデータをビジネスコンテキストと連携させています。Splunk AI ToolkitとAmazon SageMakerなどの統合を通じてコンテキストアウェアなAIを実現することで、セキュリティ、IT、オブザーバビリティといった重要分野にわたって意思決定を加速し、死角を縮小できるようにします。さらに、常時稼働のエージェント型AIの活用に注力して、プロアクティブな運用を実現させています。ここで活躍するのがSplunk Model Context Protocol (MCP)とAWS DevOps Agentです。これらは問題を予測して、ビジネスに影響が及ばないよう防止するために役立ちます。
AWS DevOps Agentについてもっと詳しく教えてください。このパートナーシップにおける役割は具体的にどのようなものですか。また、顧客が常時稼働のエージェント型AIによる運用を実現するうえで、どのように役立っていますか。
Bill Fine氏:AWS DevOps Agentは、一言で言うと、自律的なAIチームメイトです。まるで優秀な運用エンジニアのように思考し行動します。特に優れているのは、従来のワークフローを変更することなく利用できる点です。なぜなら、Splunkをはじめとする、あらゆる既存のツールと直接統合できるためです。
そのすごいところは、継続的にSplunkのデータをもとに学習し、アプリケーションのリソースをマッピングし、テレメトリ情報をコードやデプロイと関連付けて理解することです。インシデントが起きると、単にアラートを送信するだけでなく、実際に問題を調査し、根本原因を特定したうえで、解決に向けた具体的な対策を立てます。「常時稼働」なので、24時間365日を通じて働きます。休むことなくインシデントを未然に防ぎ続け、そのために過去の調査結果やSplunkデータのパターンを精査して、根本的な問題を特定します。
Splunkとのパートナーシップで特に素晴らしく思うのは、チームの状況に柔軟に対応できる点です。AWS DevOps Agentは、運用のベストプラクティスに基づいてトレーニングされています。そのため、経験豊富なDevOpsエンジニアをどのチームにも加えるような感覚です。あらゆるインシデントを完全に記憶し、あらゆる行動から学習するエンジニアです。また、Splunkとシームレスに統合できます。統合を通じてSplunkの豊富なオブザーバビリティデータを利用し、インフラについて的確な判断を下すことで、MTTR (平均解決時間)を大幅に短縮します。
Splunkのような独立系ソフトウェアベンダー(ISV)ならではの貢献として、AWSがこうしたエージェント型AIのエコシステムを提供するための能力を強化するうえで、どのようなものがありますか。
Bill Fine氏:私たちの各チームは協力して組み込みの統合を構築しました。この統合によって、DevOps AgentがSplunkのテレメトリと、自身が管理するアプリケーショントポロジー内の各エンティティとの関係を理解するとともに、インシデントの解決と予防に向けて、関連するメトリクスやログ、トレースをイントロスペクトできるようになります。
エージェント型AIはSplunkとAWSの提携においてどのような位置づけですか。また、それによって、顧客のプロアクティブなオペレーショナルエクセレンスやビジネスレジリエンスはどのように向上するでしょうか。
Hao Yang:エージェント型AIはSplunkとAWSの協業の土台となっています。それを特に表すのが、AWS DevOps AgentなどのAWSサービスとSplunk MCPの統合です。この統合によって、純粋にリアクティブなシステムを進化させ、真にプロアクティブな対応を実現するインテリジェントなシステムを構築できるようになりました。それは、データを継続的かつ実践的なインテリジェンスへと変換するシステムです。
この統合を使えば、お客様は、Splunkのデータから運用に関するより深いインサイトを得られるだけでなく、学習したパターンや検出された異常に基づいて継続的に監視や分析を行うとともに、自動化されたアクションを実行できます。これにより、常時稼働するAI機能が実現します。その機能は、潜在的な問題を予測して深刻化する前に対処でき、しかも状況の変化に柔軟に適応できます。
Splunkは最近、名誉あるAWS Partner Awardsを3部門で受賞しました。これらの受賞は、このパートナーシップがAI業界の形成において高めつつある影響力や戦略的価値をどのように示していますか。
Hao Yang:受賞したのはPublic Sector Technology Partner of the Year (EMEA)、Health Care Life Sciences (HCLS) Technology Partner of the Year (Global)、そしてTechnology Partner of the Year (France)の各賞です。これは大変な栄誉であり、私たちの共同の取り組みとその影響力が高く評価された証しだと考えています。
これが示しているのは、SplunkとAWSのパートナーシップが、信頼性、セキュリティ、俊敏性が必須の重要な各業界においていかに意義深いイノベーションをもたらしているかということです。そこで改めて強調されたのは、公共部門やヘルスケア・ライフサイエンス分野の組織が直面する喫緊の課題を解決するために、信頼できるデータ、スケーラブルなクラウドインフラ、先進的なAI機能を統合することの戦略的価値です。
何より重要なのは、私たちの共通の使命がこれらの受賞によって改めて評価されたことです。それは、AIを活用して実際の成果を促進するという使命です。そして、それによってお客様がいっそう高度なインテリジェンスを活用し、強固なレジリエンスを備え、迅速に業務を遂行できるよう支援するとともに、データドリブンな組織が成功する仕組みの未来を形作っていくということです。
SplunkとAWSのパートナーシップでは今後、主にどのような戦略的取り組みやイノベーションによって、AI分野における将来のニーズや機会に対処していく予定ですか。
Bill Fine氏:ここが特に注目していただきたいポイントです。エージェント型AIは今、大きな転換期を迎えています。これまでは「あると便利」でしたが、それがビジネス上の競争において不可欠なものへと進化しつつあるのです。私たちがSplunkとともに取り組んでいるのは、もはや個々のAIエージェントにとどまりません。それは、互いに連携して作業できる協調型エージェントによるエコシステムの構築です。
真に革新的なのは、この取り組みをどのように利用しやすくしているかという点です。つまり、Splunkとのパートナーシップを通じて、これらのAIエージェントがAWSに限らず、あらゆるクラウド環境で確実に機能できるようにしているのです。これは、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド戦略を採用している企業にとって、非常に大きなメリットです。なぜなら、これらのエージェントは実行環境を問わずに、インフラ全体を把握できるSplunkの包括的な可視性を通じて学習するからです。