重要なポイント
政府・自治体のシステムは原則として、誰かにサービスを提供するために存在しています。それは、給付金を申請する退役軍人、還付金を待つ納税者、締め切りに追われるケースワーカーなどさまざまです。Splunk GovSummit 2026における私の基調講演は、この原則を踏まえたものでした。講演では、Simplex社の創業者であるChad Smith氏を迎えて、最大のセキュリティ脅威はテクノロジーだけが生み出すわけではないという重大な事実について話し合いました。特に問題なのは、テクノロジーの進化のスピードと、その変化に適応する組織や人の能力とのギャップが拡大していることです。
私は講演の中で、「時計のミスマッチ」と自身で名付けたフレームワークを紹介しました。それは、あらゆる組織の運営は、異なるリズムで時を刻む4つの時計に基づいているという考え方です。
AIが加速させているのはあくまでも、マシン・クロック(機械の時計)のみです。攻撃者は生成AIがもたらすスピードで攻撃を実行しているのに対して、政府・自治体は今でも組織のスピードで意思決定をしています。この差こそが、攻撃者にとっての狙い目であり、政府・自治体のサービスを利用する市民を危険にさらす隙を生みます。
私は講演の中で、このギャップを解消するために、データに対するアプローチを再考することを訴えました。多くのチームは、まず、可能な限りの情報を集めてから、インサイトを見出そうとします。私はその逆を提案します。まず、意思決定すべきことを具体的に決め、そこから逆算してその達成に必要な最小限のシグナルを集めるのです。その他の情報はすべてストレージコストに過ぎません。
Splunkはマシン・クロック(機械の時計)とヒューマン・クロック(人間の時計)の速度差が生み出すギャップを埋める役割を果たすソリューションであると私は考えています。単にデータレイクやダッシュボードを提供するだけでなく、速度の異なる2つの体系の差異を吸収するための構造的変換層として機能しながら、両者をつなぎ、そのつながりが途切れないように維持しているのです。

Chad Smith氏は、実務家としての説得力ある視点をこの講演にもたらしてくれました。Simplex社の創業者兼バーチャルCISOとして、同氏は、米国宇宙コマンドから海軍造船施設まで、重要な標的を数多く抱える国土全体を守っています。
優先順位の判断に関する同氏のアプローチは、チャーリー・マンガー氏が提唱した「逆転思考 (Inversion Thinking)」に基づいています。このアプローチでは、まず、何を守るべきかを考えるのではなく、自分が攻撃者であったら、どうすれば確実に攻撃を成功させられるかを考えます。同氏は、この思考モデルを自身のチームの開発プロセスに組み込み、AIを使ってアナリストの推論に疑問を投げかけ、単にマニュアルに従って行動するだけでなく、批判的に考えるように促しています。
今回の議論で特に印象に残ったことの1つは、Smith氏がサイバーセキュリティを長年の結婚生活に例えた点です。30年も一緒にいれば、相手の普段の様子は熟知しているため、調子が悪いときは、わざわざ尋ねなくてもわかります。組織の業務運用も同じレベルで理解する必要があります。自身の業務について熟知していれば、あるべき状態が「基準」として自然と身につくため、異常が発生したときにすぐに気づくことができます。
講演の最後に、ホテルの外で撮った写真を紹介しました。道路標識が写っていて、そこには「行動を起こすことにはリスクが伴う。だが、行動を起こさないことは、より大きなリスクである」と書かれています。私は皆様に、雑音に惑わされずに物事の本質を見抜く力を身につけてほしいと思っています。周囲の人々への投資を怠らず、現代のミッションに自らの歩調を合わせてください。講演でお話ししたとおり、テクノロジーは単なる道具(手段)であり、私たちの目的は奉仕(サービス)そのものにあります。コンピュータが導いてくれる場所には限界があります。その先の道のりを切り拓き、目的地へと到達させてくれるのは、他ならぬ「人」なのです。重要なインフラの保護であれ、行政サービスの提供であれ、シスコとSplunkは各機関の成功に必要な、コンプライアンスに対応したAIネイティブの統合ソリューションの提供に尽力してまいります。
GovSummit 2026をさらにご活用ください。私の講演以外にも、さまざまな基調講演やブレイクアウトセッションを視聴できます。これらの情報を参考に、次のステップに備えてチームを強化しましょう。Splunkは、お客様が生成AIのスピードと組織のスピードのギャップを解消できるようにお手伝いします。詳しくは、営業窓口までお問合せください。
このブログはこちらの英語ブログの翻訳、前園 曙宏によるレビューです。