ガートナー社 2025年 SIEM部門のマジック・クアドラント
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AIについてこれまで最も議論されてきたのは、何が自動化されるのか、どの業務が「奪われる」のか、そしてどの役割が脅かされるのか、という点です。しかし、そうした捉え方では、より複雑で繊細な価値を見落としてしまいます。
2026年に起きる本当の変化は、機械がサイバーセキュリティチームに取って代わることではありません。AIによって、セキュリティ担当者の業務の進め方そのものが再構築されるのです。生成UIの機能が注目を集め成熟していくにつれて、組織は、ユーザーの現場のニーズに応じてカスタマイズされた動的な可視化を活用できるようになります。
ダッシュボードは、ビジネス全体の健全性を監視するための情報源として今後も重要であり続けます。一方で、真の進化は、複雑な調査をどれだけ合理化できるかにかかっています。マネージャーは引き続き、業務の健全性を確認するための一貫した可視化を必要とします。一方で、チームは、データの詰め込まれた表や未加工のログから次第に脱却し、パターンや異常をその場で即座に把握できる動的な可視化を活用するようになるでしょう。この新しい時代には、負担の大きい作業はインターフェイスが今より多く担うようになり、あらゆる立場の人は今より少ない労力で迅速かつ的確な意思決定を行えるようになります。
さらに先を見据えると、今後5〜10年の間に、SOCチームには新たなタイプのアナリストが登場するでしょう。こうした未来の専門家は、生成UIが提供する直感的でシームレスなインターフェイスを活用して、調査用ランブックを作成したりカスタマイズしたりできます。なお、ランブックの記述自体はAIが担当します。この変化により、アナリストは、未加工データからの膨大なシグナルに振り回されたり、手作業によるデータ管理やプロセス作成に時間を取られたりすることなく、ビジネスコンテキストを踏まえたインサイトの解釈、運用への影響の把握、対応のオーケストレーション、コラボレーションの推進といった、より価値の高い業務に集中できるようになります。
「百聞は一見に如かず」と言いますが、悪名高い「単一画面」でストーリー全体を伝えることができるのでしょうか。長年にわたり、あらゆるレベルの関係者が、優れた設計のダッシュボードを活用することで、大量のログを探し回るよりも迅速かつ快適に、問題の把握と対応にあたってきました。しかし、ダッシュボードは手作業で作成する必要があり、継続的なチューニングが欠かせません。また、データは最新のものでもデザイン自体は基本的に変わりません。ダッシュボードは最新情報や指標を一目で把握するのには役立ちますが、アナリストが調査を進める過程を導いてくれるものではありません。
そこで登場するのが、可視化機能の新たなツールとなる生成UIです。生成UIは、調査対象の課題に応じて視覚的な結果カードを動的に生成します。もはや、課題ごとにダッシュボードを苦労して作り込む必要はないのです。これは単なるUIのアップデートではありません。将来のアナリストが業務をどのように把握し、進めていくかを再定義するものです。
生成UIは、調査対象の課題に応じて視覚的な結果カードを動的に生成します。これは単なるUIのアップデートではありません。将来のアナリストが業務をどのように把握し、進めていくかを再定義するものです
今日のアナリストは、データを直接取り扱っています。たとえば、検索の実行、ログの確認、検知ルールやプレイブックといったSOCアーティファクトの手作業による作成などです。こうした業務には多くの場合、時間的な制約が課せられています。そのため、戦略的な業務や自動化の導入にまで手が回らず、シグナルの背後にあるビジネスコンテキストを理解する余裕もほとんどありません。AIは、必要とされるスキルのハードルを下げ、アナリストがより少ない労力で迅速に調査の核心にたどり着けるようにすることで、この悪循環を変えつつあります。生成UIを導入すれば、ツール操作に伴う負担や疲労がさらに軽減され、アナリストはスプレッドシート間でデータを移し替えるような作業ではなく、調査の中心的な作業に集中できるのです。
早期導入を進めている組織ではすでに、AIアシスタントを活用して、アーティファクトの作成やアラートの生成、複雑なクエリの下書きなどを行っています。これは、検索エンジンを使った従来の検索から、自然言語のプロンプトを中心とした作業へと移行しつつあることを示しています。その結果、アナリストは未加工データを扱うのではなく、単一の調査用スクラッチパッド上で、その場で動的に生成される視覚的な「カード」を通じて作業を進めています。必要に応じていつでも詳細を掘り下げることもできますが、基本的な操作はとても見やすく使いやすいものです。
共有も、いっそうスムーズになります。生成UIでは、ワンクリックでの共有やリアルタイムのコラボレーション機能が調査ツールに組み込まれます。これにより、静的なスクリーンショットやスプレッドシートをメールでやり取りする代わりに、調査の過程や結果をライブでインタラクティブに共有できるというわけです。全員が文字どおり同じ画面を見ながら作業できるため、「version 19 final FINAL」といったファイル名もなくなります。
さらに先を見据えると、アナリストは動的なカードに加えて、自律型エージェントが実行した調査の結果や、次の行動に関する提案を受け取れるようになるかもしれません。アナリストの役割は次第に、意思決定と調整へとシフトするでしょう。重要な局面でエージェントを導きますが、調査プロセスの大部分は自動化に任せるかたちです。人と機械の関係は、まだそうした進化の途上にありますが、その未来は近づいています。
近い将来の調査プロセスを想像してみましょう。異常を知らせるアラートが届き、アナリストが対応を開始する頃には、AIがすでに初期検索の作成と実行を済ませています。結果は、分かりやすく関連性の高いグラフとして動的な調査用スクラッチパッドに提示されます。つまり、調査をゼロからではなく、一歩進んだ状態からすばやくスタートできるのです。
そこからは、新たな調査の観点がプロンプトとして提示されるため、アナリストが手入力する必要はありません。AIが検索を実行して、裏付けとなる詳細情報を取得してくれます。生成UIは、重要度に応じて視覚オブジェクトのサイズ調整や強調表示を自動的に行ってくれます。アナリストは、進行中の調査を簡単に共有して、エスカレーションやピアレビュー、コラボレーションに活用できます。これによりチームメンバーは、同じインタラクティブなキャンバス上で、更新内容をリアルタイムに確認できます。
従来のダッシュボードやレポートは、一貫した高レベルの可視化が必要な場合に引き続き役立ちます。しかし今や、AIと生成UIが、調査や情報共有の煩雑な作業の多くを担うようになりました。ドキュメント作成の際には、AIが一連の手順や重要なアーティファクト、アナリストの行動をまとめ、包括的なインシデントレポートを生成します。かつて数時間かかっていた作業は、わずか数分で完了します。
これが調査の未来です。より迅速で視覚的、そしてコラボレーションが強化された調査が実現します。使い慣れたツールを活かしながら、新たなテクノロジーによってまったく新しい可能性を切り拓くことができます
アナリストの役割は根本的に変化しており、新たなスキルの獲得と、リーダーによる人材採用やチーム構築の方針の見直しが求められています。新たに職場に加わる世代は、手作業でのデータ整形やクエリ作成よりも、AIに指示を与え、その出力を解釈することに慣れています。リーダーには戦略の転換が求められます。採用する人材については、特定のツールの使用経験よりも、論理的に考える力、明確に伝える力、適切な問いを立てる力を重視することです。こうした人材を惹きつけ、定着させる必要があります。これらのスキルを備えたアナリストが、AIや生成系システムを効果的に活用してくれるのです。
「実行する」から「設計する」、そして「管理する」へと役割が進化してきた流れは、アセンブリ言語から高水準言語、さらにAI駆動型ツールへと進化してきたテクノロジーの変遷を反映したものです。ソフトウェアの進化によってチームの在り方が変化したのと同様に、運用を担うリーダーもまた、従来のアプローチを見直すことが求められています。
AIや生成UIは、セキュリティ運用とアナリストの業務の進め方を大きく変えつつあります。可視化は、静的なダッシュボードから動的なストーリー表現へと進化し、アナリストの役割も、データを直接操作することから、AIに指示を与え、結果を解釈し、自律的なエージェントを導くことへと移行しています。
アナリストの役割は、手作業でのデータ処理から、意思決定やオーケストレーションへと移行しています。抽象化とAIによって運用の在り方が再定義される中で、こうした変化に適応できる組織こそが、将来に向けて優位性を獲得するでしょう
Splunkの「2026年の予測」シリーズから他のレポートをご覧ください。このシリーズでは、セキュリティ、オブザーバビリティ、AIの未来を展望しています。トピックでは、的確なリスクテイクによるビジネス価値、SOCとNOCの運用の統合、統合型のオブザーバビリティによるビジネス成果の向上、適応型AIの台頭などを取り上げています。
このブログはこちらの英語ブログの翻訳、前園 曙宏によるレビューです。