Splunk AppDynamicsはビジネスパフォーマンスと関連付けられたフルスタックのオブザーバビリティを実現し、ハイブリッド環境でもオンプレミス環境でもアプリケーションのパフォーマンスを最適化します。

ダウンタイムのコストは高い
「当社のERPシステムはオンプレミスにあり、在庫システムと倉庫システムの一部はクラウドにあって、Webサイトの運用にはサードパーティのサービスを利用しています」とMasey氏は説明します。「この環境内のどこでダウンタイムが発生しても、収益の損失は免れず、1時間あたりのコストは数百万ドルに達する可能性があります。さらにこの間は、購入プロセスでお客様が期待するエクスペリエンスを提供できないことにもなります。しかし、分散したシステムを個別に監視していて、あまり自動化されておらず、包括的な可視化ができていない状況では、すべてのシステムの正常稼働を24時間365日維持するのは極めて困難です」
複雑な分散IT環境では、多数のアプリケーションやシステムが連携し、相互運用されることで、世界中の顧客に高品質な商品を提供するエンドツーエンドのエコシステムが構築されています。しかし、これは運用面で重大なリスクをもたらします。
Carhartt社では、顧客向けのeコマースサイトや小売パートナー向けのサイトなどのフロントエンドシステムが注文管理システムに接続し、注文管理システムは、SAPのERP、在庫管理システム、倉庫管理システムと通信します。最重要の基幹アプリケーションやデータストアに関する包括的なインサイトが十分に得られない中、同社のITチームは、購入プロセスの各段階で優れたカスタマーエクスペリエンスを一貫して提供することを求められ、情報不足のまま問題をすばやく特定して解決しなければならないというプレッシャーにさらされていました。
「当社では生産と物流にジャストインタイム方式を取り入れており、その要となる材料計画と在庫管理を担うMSOアプリケーションは、成功に不可欠であると同時に、運用上の最大の弱点にもなっています」と、Carhartt社のシステムエンジニアリング担当スーパーバイザーであるMike Karasienski氏は指摘します。「しかし、MSOアプリケーションをサポートするチームは十分な可視性を得られず、遅延や障害の原因がアプリケーション自体にあるのかインフラ側の問題なのかを判断できない状況でした。私たちは当時、詳細な可視化と根本原因分析がビジネスの成功にいかに重要であるかを痛感していました」
実用的なインサイトを獲得して長期的な成功を目指す
Carhartt社は、テクノロジースタック全体を可視化するという最重要課題への対応を、ITインフラとその運用へのアプローチを根本から見直す機会と捉えて、Splunk AppDynamicsの導入を決定しました。その目的は、運用に関する有益なインサイトを獲得して、意欲的なデジタルトランスフォーメーションイニシアチブの長期的な成功を築くことです。
Carhartt社では、AppDynamicsを使って、以前は個別に行っていたアプリケーションとネットワークの監視を一元化しています。AppDynamicsなら、単一のオブザーバビリティソリューションとして、最重要の基幹アプリケーションをすべて可視化できます。たとえば、SAP HANA ERP、eコマースサイトや顧客向けの主なサイト、さらには倉庫、在庫、流通などのシステムに接続するミドルウェア層などです。
「AppDynamicsのおかげで、すべてのデータベース、アプリケーション、クラウドインスタンスの状況をリアルタイムで把握し、データの流れを理解して、お客様向けのサービスに影響を及ぼす可能性のある潜在的な問題をプロアクティブに特定できるようになりました」とMasey氏は評価します。「お客様が常に快適なエクスペリエンスを期待している場合、このようなフルスタックの可視化は非常に重要です」
AppDynamicsのビジネスパフォーマンス監視ツールであるBusiness iQと、シングルページアプリケーション監視機能を使えば、すべてのシステムとアクティビティを明確に可視化できます。Carhartt社ではBusiness iQによって、Webサイトへのアクセスからフルフィルメントまで、カスタマージャーニー全体をステップごとに監視および可視化しています。そして、その仕組みを支えるのが、シスコベースの安全で広範なネットワークです。
「シスコは、SD-WANを拡張する場合であっても運用全体の安定性と信頼性が高いことが実証されているため、ネットワーク基盤として理想的です」とKarasienski氏は言います。「現在、35の小売店舗すべてでCisco Merakiソリューションを利用しています。近い将来、生産拠点とビジネス拠点にも導入する予定です。すべての拠点でSAPプラットフォームにシームレスかつ安全に接続できるようになり、一元化と標準化がさらに進むでしょう」
AppDynamicsにより、各eコマースアプリケーションと小売店舗について、過剰なログイン試行などの潜在的なセキュリティ脆弱性がないかを厳重に監視するとともに、小売チャネル、パートナーチャネル、顧客向けサイトからSAPへのトラフィックの流れを監視して、チャネルの稼働と停止やメッセージフローの停滞を即座に把握できるようにもなりました。
「以前は、メッセージはFTPサーバーとSAP間でやり取りされ、サードパーティのSAPアプリケーションで管理していましたが、監視は容易ではありませんでした」と、JMFerron社のプリンシパルコンサルタントでありCarhartt社チームの戦略的ITパートナーであるEdward Ferron氏は打ち明けます。「現在では、各チャネルからSAPに流入するすべてのトラフィックをAppDynamicsに転送し、Business iQのダッシュボードを使って、注文の自動ブロック機能が発動した原因を調査したり、メッセージが目的地に届かない問題をすばやく検出したり、問題の発生箇所を正確に特定したりしています。これにより、顧客の注文に影響が及ぶ前に問題を修正できるようになりました」
一方、在庫の計画と管理を担うMSOシステムは、以前は可用性やパフォーマンスの問題がたびたび発生して注文処理に影響を及ぼしていましたが、AppDynamicsの導入後はピーク性能を発揮しています。「これまでもMSO専用のアプリケーションサポートはありませんでしたが、AppDynamicsのおかげで実際に必要なくなりました」とKarasienski氏は言います。「速度や可用性の低下など、パフォーマンスの問題が発生したときは、AppDynamicsのレポートメトリクスに目を向けて、Kubernetesで実行されているマイクロサービスとアプリケーション自体の両方の状況を確認するだけで、問題の発生箇所を特定し、適切な担当者、つまりベンダーか自社のオペレーターに連絡を取って問題を解決してもらうことができます」
長期戦を戦う
変化は一夜にして起こるものではありません。Carhartt社のデジタルトランスフォーメーションのような、歴史あるブランドの将来を見据えた抜本的な改革には、長い時間がかかります。AppDynamics以外のソリューションでは同社のイニシアチブをこれほど大きく前進させることは難しかっただろうとMasey氏は言います。AppDynamicsを導入したことで、サービスやアプリケーションでのコストのかかるダウンタイムを実質的に排除して、数百万ドルの収益損失を回避するとともに、購入プロセスの信頼性を高めることができました。
「AppDynamicsがあれば、環境内の主要なコンポーネントを可視化し、ビジネスや顧客への影響度に基づいて問題の優先順位を判断できます。これにより、限られた時間とリソースを大いに有効活用できます」とMasey氏は評価します。「チーム全体の業務を支援することで、可視性、統制、パフォーマンスを低下させることなく、人件費と運用コストだけで数十万ドルを節約できました」
Masey氏とチームは、特にクラウドの拡張に関して、対応すべき課題がまだいくつかあり、その克服にはAppDynamicsによるフルスタックのオブザーバビリティが不可欠であると考えています。
「クラウド、特にIaaSは、この業界と私たちのビジネスの未来です。Azure、Google Cloud、AWSに移行するワークロードが増える中、すべてのデータベース、接続、アプリケーションの状況を可視化して、24時間体制でパフォーマンスを最適化できるようにする必要があります」とMasey氏は言います。「AppDynamicsは環境の隅々まで可視化し、弱点領域と機会を明らかにしてくれる唯一無二のソリューションです。また、非常に直感的に使用できるため、役職や役割に関係なくチーム全員の能力を最大限に引き出して、今の世代と新たな世代のお客様に優れた商品とエクスペリエンスを提供するという目標の達成を支え続けてくれるでしょう」