シアトルやソウル、あるいはコペンハーゲンやカイロで、早朝に見えない不具合が発生して通信ネットワークがダウンしたらどうなるでしょうか。検索やメールや決済が突然できなくなるばかりか、緊急通報すら不可能になるなど、その影響は広範囲に及ぶでしょう。
近年、まさにこのような事態が、世界各地でたびたび起きています。ソフトウェア更新の失敗や原因不明の障害、あるいはサイバーセキュリティイベントによって、何百万人もが使用しているインターネットサービスやモバイルサービスが、ときには数時間にわたって停止することがあるのです。
しかも、5G、モノのインターネット(IoT)、仮想化コアの登場でネットワークが複雑化するにつれ、こうしたリスクはさらに高まっています。ごくわずかなエラーが連鎖的に広がり、私たちが日々当たり前に利用しているデジタルサービスが停止してしまう可能性があります。そして、このような事態になれば、サービスプロバイダーもコストの急増に見舞われることになります。
こうした問題は、どれほど大きなコストをもたらすのでしょうか。当社の調査によると、通信事業者やメディア事業者は、ダウンタイム関連のコストとして年間で平均1億4,300万ドルを計上しています。しかも、その4分の1 (3,200万ドル)近くが、失われた収益によるものでした。
しかし、次世代の自律型ネットワークが優れた解決策を提供することになるでしょう。自立型、自己修復型のシステムが迅速に問題を発見し、修正するようになるのです。その結果、お客様にとっては、重要なサービスが常に稼働し、不具合の兆候すら感じられないようになります。一方、通信事業者やメディア事業者にとっては、予期せぬダウンタイムや不要なコストを回避できるようになります。
つい最近まで、自律型ネットワークは、SFの世界の話のように思われていました。しかし今、その実現は目前に迫っており、業界はすでに導入に向けて準備を進めています。最近コペンハーゲンで開催されたTM Forum DTWイベントでは、シスコやSplunkをはじめとする業界トップの通信事業者やパートナー企業が、ネットワークの回復力、俊敏性、効率性を高めるソリューションの進展状況を報告しました。そこで各社が強調していたのは、自律型ネットワークの時代はすでに到来しているということでした。
ネットワークはますます複雑化しており、毎日何十億ものデバイスが接続されています。そして、お客様はさらに高速でシームレスなサービスを求めています。
手間のかかる手動でのネットワーク管理では、もはや対応できません。しかし、自律型ネットワークを導入すれば、問題を事前に予測し、人間の介入を待たずに設定を変更できるため、ネットワークを常に稼働させ、高いサービス品質を維持することができます。
メリットはほかにもあります。自律型ネットワークなら、拡張性の制約やコスト効率の低さなど、従来のネットワーク管理が抱えていた課題の多くが解決されることになります。
| 従来型ネットワーク管理 | 自律型ネットワーク管理 | |
|---|---|---|
| 拡張性 | 需要の変化に合わせて動的に規模を拡張することが困難。 | 需要の変化に合わせてテクノロジーを追加したりサービスを拡張したりすることが容易。 |
| 運用効率 | 設定、監視、トラブルシューティングを手動で実施。 | AIと機械学習(ML)を活用したネットワーク管理により、監視の手間を最小化。 |
| 信頼性 | 障害の発生につながる人的ミスが起こりがち。 | AIによるリアルタイム監視とプロアクティブな問題管理で、一貫したサービス品質を確保。 |
| コスト | 手作業への依存度が大きいためにコストが増加。 | コスト効率の高い管理により、チームが付加価値の高い業務やイノベーションに集中できる時間を確保。 |
| 自動化 | ルールベースの静的な自動化であるため、変更を加えるには人間の監視が必須。 | ビジネス目標を中心に据えたインテントベースのモデルにより、人間の監視なしにネットワークが対応。 |
通信事業者やメディア事業者は、自律型ネットワークの将来性を見込んで、今後数年間かけてこの分野に投資することを視野に入れています。自律型ネットワークの市場は、2024年の86億ドルから2032年には385億ドルに成長し、年平均成長率(CAGR)は20.5%に達すると見込まれています。
まだ手作業から脱却できていないチームにとって、完全な自律化は遠い目標のように感じられるかもしれません。しかし将来を見据え、通信事業者やメディア事業者は以下に挙げる基本的な取り組みを進めることをお勧めします。
これらの基本的な要素を踏まえることで、組織はネットワークの自動化という目標に向けて、さまざまなアプローチを取ることが可能になります。企業によっては、まずゼロタッチプロビジョニングに取り組むところもあれば、セキュリティ対応の自動化に重点を置くところもあるでしょう。
どのアプローチを取る場合でも、次の3つの取り組みによって自動化が促進されます。
こうした変化を可能にするのが、スタック全体を横断的に可視化できるSplunkの機能で、監視、異常検出、根本原因分析のすべてを1カ所で実行できます。さらに、この統合アプローチによって、AIツールやMLツールが、プロアクティブなインシデント管理とネットワークパフォーマンスの最適化に必要なデータにアクセスできるようになります。
また、サービスを中断させるような深刻な障害も、自律型ネットワークによって過去のものとなるでしょう。ネットワーク監視を継続し、検出と修復を自動化することで、人間が気づくより早く問題を解決できるようになります。
通話が途切れることも、メッセージが届かなくなることも、決済が停止することもありません。
シームレスなサービス、顧客満足度の向上、そしてイノベーションに満ちた将来の基盤となるデジタルレジリエンスが実現するのです。
Splunkが通信サービス事業者のビジネス目標達成を支援する方法については、当社の業界向けWebページをご覧ください。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。