Splunk Observability Cloudによる可視性の向上
REPAY社は、自社の運用環境を把握するために、システム全体を可視化する必要がありました。そして、その要件を満たしたのがSplunk Observability Cloudでした。
OpenTelemetry (OTel)ベースの標準化により、REPAY社は組織全体で“信頼できる唯一の情報源”を確立しました。トレースIDによって各サービスにまたがるリクエストの流れを追跡できるため、チームはゲートウェイへのリクエストから、遅延の原因となった特定のデータベースクエリにいたるまで、システム環境の全容を把握できるようになりました。
Wolfe氏は次のように述べています。「これまで見えていなかったシステムの全体像を把握できるようになりました。このエンドツーエンドの可視性は、当社の運用にとって大きな変化です」
OpenTelemetryによって、チームの連携体制も一変しました。トレースによって異常が検知されると、チームは担当のコンポーネントだけでなく、推定サービスや関連する依存関係まで確認するようになり、より組織的な連携が行われるようになりました。
「異常を追跡し、何が正常に機能していて、何が機能していないのかを確認できます」とWolfe氏は語ります。「誰かが異常に気づけば、すぐにそのトレース情報を共有します。トレース情報には、推定サービスや関連データベースへのリクエストも含まれているため、1つのチームだけの問題ではありません。原因を解明するには、組織が一丸となって取り組む必要があります。『それは私の担当ではない』といった、組織によくある責任のなすりつけ合いも起こりません」
ダッシュボードによるコンテキストの把握と透明性の向上
Wolfe氏のチームは、Splunkの一元的なダッシュボード上でシステムの健全性を監視しています。このダッシュボードでは、システムの状態がシンプルで分かりやすい“信号機”風に表示され、レイテンシーの悪化やエラー率の上昇といった重要な問題を一目で把握できます。チームは、複雑でノイズの多いグラフに惑わされることなく、システムが健全かどうかを瞬時に判断できるようになりました。
「エラー率の変化から、システム動作の正常性を判断しています」とWolfe氏は言います。「この方法により、問題の検知から対応までの能力が大幅に向上しました」
Wolfe氏は、このシンプルなダッシュボードがバッチ処理にも大きな変化をもたらしたと語ります。バッチ処理は日常的な決済処理以上に難しい課題ですが、このダッシュボードは、特に決済期限が集中して取引量が急増する毎月1日と15日のピーク時に効果を発揮しています。この時期、クライアントからは数千万件規模の決済トランザクションが送信され、それらを同時に処理、決済、照合しなければなりません。そのため、インフラに急激な負荷をもたらす大量のトラフィックが発生します。
「取引量が増えると、システム負荷によってトランザクション時間も増加します」とWolfe氏は説明します。「当社のAPIには数百万件ものリクエストが集中するため、通常とは異なる観点でトラフィックを見る必要があります。しかし今では、そうしたピーク時特有のシグナルを見分けられるようになりました。これは非常に有益です」
Splunk Observability Cloudは、調整が必要なコンポーネントの特定や、リクエストの流れ、再試行メカニズムの可視化を支援します。また、アルゴリズムが設計どおりに機能しているかも確認できます。「重要なのは、大規模なバッチ処理がシステム全体に影響を及ぼさないようにすることです」とWolfe氏は語ります。「必要に応じてシステムを最適化し、スケールアウトすることで負荷に対応できます。そして、負荷が下がれば元の状態に戻ります」
Observability CloudのSplunkダッシュボードを活用することで、同社はSQLクエリーやエンドポイントを最適化し、取引レイテンシーを30%削減しました。「私たちの目標は、取引処理時間とエラー率を継続的に改善することです。処理上のボトルネックを減らし、全体的な成功率を高める方法を常に模索しています」とWolfe氏は語ります。
こうした背景を踏まえ、REPAY社は顧客向けダッシュボードの開発を進めています。これにより、顧客自身がパフォーマンス指標に直接アクセスできるようになり、透明性と信頼の向上につながります。「当社を介することなく、顧客が自らシステムの稼働状況を確認できるように、オブザーバビリティの指標を共有したいと考えています」とWolfe氏は語ります。「Splunkの画面で顧客にパフォーマンスグラフをお見せすると、『Splunkを使っているのですね』と言われることがよくあります。Splunkは業界で高い信頼を得ており、それがお客様の安心感にもつながっています」
AIアシスタントによる迅速な問題解決
Splunk Observability CloudはREPAY社に新たな可能性をもたらしましたが、その活用を支えるのがObservability CloudのAIアシスタントです。
「あらゆるシステムの複雑な仕組みを把握することは不可能です」とWolfe氏は指摘します。「SplunkのAIアシスタントを使えば、メトリクスやデータの相関関係について自然な言葉で質問できます。たとえば、Trace Analyzerでサービスを選択しなくても、質問を入力するだけでよいのです。今では、最小限の手間で大量のデータから必要な答えを得られるため、大きな助けになっています」
この効率化により、同社はトリアージ時間を50%短縮しました。Wolfe氏は次のように述べています。「AIアシスタントによって誤検知による無駄な調査を回避できるため、チームが何週間もかけて問題を追跡し、根本原因を探る必要はなくなりました」
AIアシスタントは、根本原因の分析だけでなく、ダッシュボード上のエラー率に調査が必要かどうかを判断することもできます。この機能について、エラー急増のアラートが発生した際にチームで検証を行ったところ、その効果が実証されました。以前であれば、エンジニアを集めて手作業でログを調査していたケースですが、AIアシスタントを使って原因を調査した結果、本番環境に非本番用のエンドポイントが誤ってデプロイされており、必要なリソースにアクセスできずエラーが発生していることを迅速に特定できたのです。
「単純なデプロイミスでした」とWolfe氏は振り返ります。「AIアシスタントのおかげで、何が起きているのかを数秒で把握できました。会議を開く必要も、全社に通知する必要もなく、すぐに問題を解決できたのです」
将来を見据え、同社はAIの活用をさらに進めています。アラートのノイズを減らし、サービス停止につながる問題への対応を強化するため、AI Agent Monitoringや予測アラートなどの新機能を検証しています。Wolfe氏は、AIに問題を検知させるだけでなく、解決策の提案や実行まで担わせることを目指していると語ります。
「私たちは今、転換点に立っています」とWolfe氏は語ります。「重視しているのは、パフォーマンスとスピードです。競合には当社の10倍規模の企業もありますが、当社には俊敏性という強みがあります」
SplunkによるREPAY社の顧客体験向上
REPAY社は、Splunk Observability Cloudの導入とAIアシスタントの統合により、運用体制を大きく改善しました。加えて、より迅速な対応、より正確なトラブルシューティング、そしてデータの有効活用によって、重要な決済業務における顧客体験の向上にも成功しています。
Splunkの導入により、同社は自社環境の状況を正確に把握できるようになり、お客様に安定したサービスを提供するための基盤を確立しました。
「私たちの強みは、お客様に問題の原因と解決策を明確に示せることです」とWolfe氏は語ります。「取引効率の向上とエラー率の低減を進めることで、より良いサービスを提供できるようになり、顧客体験の向上にもつながります。これには、Splunkのようなツールが不可欠です」