
データが引き出す学生生活へのインサイト
学生が学習環境を最大限に活用できるようにするために、Haggerty氏とチームがまず必要としたのは、NJITの基幹サービスをあらゆる角度から可視化することでした。Splunkはこの面でも役に立ち、これによって、学内で何が起きているかを詳しく把握できるようになりました。Splunk Observability CloudとSplunk Synthetic Monitoringを通じて学内アクセスの増減パターンが把握できるため、ある期間や時間帯に図書館や食堂などの施設を利用する学生の数を予測できます。こうしたインサイトは、キャンパスでの学生の自然な移動パターンに合わせて大学がリソースを効果的に配分し、混雑を防ぐのに役立ちました。
今後のユースケースでは、引き続き学業関係のデータを学内インフラのデータと結び付けることで、学内施設の使用状況と学生の成功の関係をもっと明確に把握できるようにして、NJIT全学にわたって学生生活のあらゆる側面を向上させていく予定です。たとえば、車両の流れと駐車場の空きスペースを敷地全体で一括して把握できれば、通学する学生に教室から近い駐車スペースを案内できます。その結果、学生にとっては駐車違反で反則切符を切られる可能性が減り、もともと厳しい金銭的状況の悪化も避けられるかもしれません。
Splunk Core、Splunk Synthetic Monitoring、Splunk ITSI、Splunk Observabilityを利用して、使用中のアプリケーションやシステムが有用かどうかも詳しく調べることができます。Haggerty氏とチームは2023年に、学生向けサービスとアプリケーションに関する包括的なユーザーエクスペリエンス調査を実施しました。その結果をSplunkの使用状況パターンおよび分析と組み合わせ、学生サービス用のITプラットフォームで改善できる点を特定しました。Splunkを使うことで、読み込みに時間がかかるなど、学生が経験している問題の発生箇所を詳しく分析できたほか、どのサービスが利用しにくいか、古くなっているか、学生のニーズを十分に満たしていないかを調べることもできました。この調査結果は、更新したり完全に置き換えたりする必要があるアプリケーションを管理者に正確に説明する際に役立ちました。学生向けのサービスで異常が起きた場合も、MTTDとMTTRを2桁短縮するアラートによって、ユーザーよりもずっと早く気付くことができます。
Haggerty氏は次のように述べています。「私たちは、ユーザーを深く理解するために、利用できるあらゆる手段を駆使しています。そのうえで、ユーザーに対し『あなたに必要なものはこれですか?』と尋ねます。それでこそ、深く掘り下げ、独自の角度から考えることができます」。
現実世界の未来への扉を開く
実地での体験ほど、学生の将来の可能性を広げられる学習は多くありません。Haggerty氏は、NJITのYing Wu情報処理学部と連携することで、学生に実践的なスキルを習得する機会を提供しています。実際のプロジェクトに取り組むことで、将来の成功につなげる試みです。
チームでは、SplunkおよびTekStream社と協力して、学生主体のSOCを構築しています。これにより、セキュリティチームの人員不足を補いながら、学生が有用なサイバーセキュリティスキルを身につけられるよう支援するのです。これによって学生に新しいキャリアパスが開けるかもしれません。Haggerty氏はSOCの運用メンバーとして数人の学生を雇用し、重要なセキュリティ機能を網羅したプログラムを立案しています。このプログラムはシステムセキュリティやフォレンジック調査など、個々の学生の関心や目標も考慮したものです。SOCで働く学生は、インシデント対応プロセス、オブザーバビリティのベストプラクティス、監視システムの使用方法などの有用なスキルも学べるでしょう。定常的なテストを自動化することで、運用チームは職員の120時間分の労力を解放できます。これを学生SOCの指導に振り向けることで、学生のスキルを育てつつ学内の安全を維持できるため、誰にとってもメリットがあるというわけです。
同氏のチームは、今後もSplunkを活用することで、学生と大学のニーズに合わせて進化し成長していくことでしょう。近く予定する取り組みとして、需要の急増を予測するためにSplunkのデータを機械学習モデルに取り込むこと、自動化された修復プレイブックを拡張すること、そしてセキュリティ分析を学生主体のSOCに直接接続することが挙げられます。NJITとSplunkは、こうした取り組みを学生と協力して進めることで、学生の生涯学習にまでつながるよう支援しているのです。
Haggerty氏は次のように締めくくります。「この計画の中心であり私たちを支えてくれるのは学生だと、強く思っています。皆さんは非常に意欲的です。そうした学生が本学にいて一緒に取り組めることほど、素晴らしいことはありません」。
テクノロジーについて1日中話すことはできます。でも、それが学生の成功を後押ししたり、研究を強化したりイノベーションを推進したりする役に立たないのであれば、私にとって意味はありません。本当に重要なのは、誰にとっても有益な文化を醸成するとともに、学生の成功に実際に役立つにはどうすればよいかを理解するために、私たちが真剣に取り組むことです