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Splunk Edge Hub:エッジでの物理データのセンシングとモニタリング

Splunk Edge Hubは、ハードウェアデバイスとSplunkプラットフォーム、そしてそれらを基盤にSplunkのパートナーが構築したソリューションで構成されます。エッジデバイスやセンサーのデータを収集、配信、活用するための強力なツールであり、物理的またはデジタル的にアクセスが難しいデータも簡単に捕捉して活用できます。この記事では、Edge Hubデバイスに付属のセンサーや外部センサーを利用したいくつかのユースケースをご紹介します。Edge Hubデバイスの画面では、センサーデータを観測できます。この画面は、Splunk Mobile App、Splunk AR App、Splunkプラットフォームからも見ることができます。 

Splunk Edge Hubでは、以下を含むさまざまなソースからデータを収集できます。

  • 内蔵センサー:温度、光、湿度、音、圧力、ガス、ジャイロ、加速度
  • ネイティブでサポートされるプロトコル: 
    • MQTT:内蔵のMQTTブローカーによって、さまざまなIoTセンサーからデータを収集できます。
    • SNMP:配電装置(PDU)などの従来のハードウェアと最新のハードウェアの両方を監視およびポーリングできます。
    • MODBUS:Modbus TCPプロトコルを使ってセンサーやデバイスと通信できます。
    • OPC UA:OPC Unified Architectureプロトコルを使ってハードウェアからメトリクスを収集できます。
  • 接続:Ethernet、Wi-Fi、Bluetooth、LTEなどによる接続がサポートされます。

重要インフラの監視:光を灯し続ける

私は、米国ネバダ州のブラックロック砂漠で開催されたアートインスタレーションのサポートインフラの重要システムを監視するために、Edge Hubデバイスを現地に持ち込みました。これは、耐候性に優れたEdge Hubデバイスの筐体が過酷な環境にどれだけ耐えられるかを証明する良い機会になりました。環境条件となるのは一般的に熱と埃です。どんなに堅牢な機器やインフラも、通常の環境条件下で負荷を受けるものです。まさか、Edge Hubデバイスが暴風雨にも十分に耐えられるかテストすることになるとは想像していませんでした。今になって思えば、漏水センサーを付けていてもよかったかもしれません!最終的に、Edge Hubデバイスは、サポートインフラを監視および観測し、Splunkプラットフォームでインサイトを引き出したり詳細な分析を行ったりするために十分なデータを提供することで、大きな価値をもたらすことが証明されました。

Edge HubデバイスとSplunk Enterpriseサーバーを使用した目的は、MQTTメッセージを送信する電力計と統合すること、そして付属のセンサーからデータを収集することでした。ラボ環境では、監視用の機器とセンサーをすべて想定どおりにセットアップできましたが、現地では、ネットワーク機器が原因で、いくつか予想外の問題に見舞われました。それでも、Edge Hubデバイスから、興味深いデータをたくさん収集できました。 

インフラ監視のために取り付けられたSplunk Edge Hubデバイス、ダッシュボード、インスタレーションから離れた場所に置かれたEdge Hub製品とそのボックス図1-1. インフラ監視のために取り付けられたSplunk Edge Hubデバイス、ダッシュボード、インスタレーションから離れた場所に置かれたEdge Hub製品とそのボックス。

重要インフラの監視:ライトアップ

Splunk Edge Hubデバイスで監視したミュージアムは送電網につながっていない、いわゆる「オフグリッド」ですが、太陽光発電を使って日没から日の出までギャラリーをライトアップしました。これは、夜間でもギャラリーを見学できるようにするためだけでなく、視界が悪くなる時間帯に周辺を通行する車両がギャラリーに気づかずに衝突するのを防ぐためにも重要でした。そのため、一晩中ギャラリーを照らすのに十分な電力をバッテリーに蓄えておく必要があります。曇りの日や砂埃が舞う日は発電量が低下するため、予備の発電機にも電力を蓄えておくことにしました。

最終的に、埃を払うといった簡単なメンテナンスを行うだけで、太陽光発電で電力をまかなうことができました。Edge Hubは、ひどい埃と熱と湿気の中、まる1週間働き続けました。

デバイスの内蔵センサーと外部センサーによってわかること

  • 温度:機器が過熱状態になったり、バッテリー容量が制限されたりしていないかを確認します。温度と湿度を監視して、動作パラメーターが期待する範囲に収まっていることがわかれば、冷静に対処できます。
  • 圧力:内蔵の圧力センサーのデータを統合して、機器の筐体が陽圧と陰圧のどちらの状態になっているかを確認します。濾過した空気を送り込んで陽圧の状態にすれば、埃を外に出して、機器の寿命を維持できます。
  • 湿度:空気中の水分含量を監視して、機器の動作環境を最適な状態に保ちます。
  • 明るさ:ギャラリーの照明と電力の状態を確認して、近くを通る人や車両からの視認性を確保します。 
  • 発電量:MQTTメッセージを送信する外部センサー(オプション)を使って太陽光発電機を監視し、日中にソーラーパネルから電力を確保し、夜間に必要に応じて電力を送出できているかを確認します。 
  • 電力の状態:ソーラーパネルに十分な日差しが当たっているか、埃のせいで発電効率が低下していないか、蓄電量の低下により予備の発電機から電力が供給されたかなどを確認します。各システムの状態をチェックすることにより、稼働状況や電力不足などを知ることができます。

重要インフラの監視:電力の確保

日中の暑さ、砂嵐、暴風雨の中でもEdge Hubデバイスはデータを収集し続けました。Splunk Enterpriseサーバーに接続できないときでも、データを保持して、再度接続したときに無事送信することができました。デバイスは、焼けつくような日差し、舞い飛ぶ埃、降り注ぐ雨を耐え抜いたのです。精密機器を埃や湿気から守り、その機能を維持できたことは大きな収穫です。インフラ設備は終始、バッテリーを充電するのに適した温度に維持されました。高温になると太陽光発電機のバッテリーに効率的に充電できなくなる可能性があるため、常に注意が必要です。Edge Hubデバイスでは、センサーデータを画面で簡単に確認できるため、温度、湿度、圧力、外部センサーを常時チェックできます。天候が変化して、高温で埃が舞う状態から雨に変わっても、Edge Hubデバイスはセンサーデータとイベントを記録し続けました。このデータは、同規模のプロジェクトでの電力需要の予測に役立つでしょう。 

重要なサポートインフラの発電状況を監視することは、オフグリッドを維持すること以外にも、さまざまな点で重要です。 

  • 太陽エネルギーの最適利用:太陽エネルギーの消費量と発電量を追跡することで、現在のソーラーパネルで電力需要に対応できているかどうかを判断できます。
  • ピークパフォーマンスの把握:太陽エネルギーの発電量を時系列で監視することで、パフォーマンスに影響する問題をすばやく特定できます。 
  • 問題の未然検出:太陽エネルギーの発電量を時系列で監視することは、ソーラーパネルに埃が積もって発電効率が低下するなどの問題のトラブルシューティングにも役立ちます。
  • コスト削減:監視データに基づいて、他の発電方法に比べてどれだけ費用を節約できたかを計算できます。インサイトに基づくアクション

Splunkプラットフォームに表示されたSplunk Edge Hubデバイスのメトリクス図1-2. Splunkプラットフォームに表示されたSplunk Edge Hubデバイスのメトリクス。温度、湿度、音、加速度などのセンサーデータがグラフで表示されています。

収集するデータが多いほど有益なインサイトが得られます。Splunkプラットフォームを使えば、大量のデータを簡単に有効活用できます。得られたインサイトに基づいて、インフラ、プロセス、サービスを改善することで、システムやプロセスの可視性とオブザーバビリティがさらに向上します。Splunkプラットフォームによって履歴データを活用する基盤を確立し、Splunk Edge Hubソリューションによってセンサーからデータを繰り返し収集することができます。

センサーデータを活用すれば、インサイトをアクションにつなげることができます。Splunk Edge HubとSplunkプラットフォームを組み合わせれば、以下が実現します。 

  • 付加価値の向上:センサーデータを活用して、プロセス、システム、ネットワーク機器などの状態を監視できます。Splunkプラットフォームを使えば、そこから、センサーデータのアノマリ検出、アラートしきい値やKPIを設定するためのベースラインの特定、システム制御のさらなる自動化が可能です。
  • リスクや異常の検出:センサーデータに基づいて、システムやプロセスに対するリスクを特定、評価し、早期に緩和策(予知保全など)を講じることができます。
  • 観測と対策の実施:センサーデータを使って、製品、サービス、インフラの品質を監視できます。温度、圧力、振動などを適切に保つためのプロセスを確立して、期待される基準を満たすことができます。
  • 予知保全:機械や装置からのセンサーデータを統合することで、障害が発生する可能性のある時期を予測できます。早期に対策をとれば、ダウンタイムの防止、コストの節約、機器の寿命の維持に役立ちます。センサーデータの活用にご興味がある場合は、Splunkのパートナーが提供するソリューションをぜひご確認ください!

次のステップ

Splunk Edge Hubは、Edge Hub Centralからご購入いただけます。Splunk Edge Hubの詳細とパートナーソリューションについては、edgehubcentral.comをご覧ください。Splunk Edge Hubは現在、米国限定で販売しています。今後、販売地域を拡大する予定です。


このブログ記事はSplunkのオブザーバビリティソリューション担当イノベーションエンジニアであるAdam Schalockが執筆しました。

このブログはこちらの英語ブログの翻訳、伊藤 宣子によるレビューです。

Adam Schalock
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Adam Schalock

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