AI時代において、データは強力な資産であると同時に厄介な問題でもあります。組織が管理する情報は膨大な量に達し、アジア太平洋地域だけでも、64%の組織が1ペタバイト以上、41%の組織が500ペタバイト以上のデータを抱えています。
しかし、多くの組織が今でも、この大量のデータから実用的なインサイトを引き出すことに苦戦しています。なぜなら、生成されるデータが増えるほど、それを効果的に管理、保護、分析するのが難しくなるためです。さらに、こうした大量のデータが、複数のクラウド、デバイス、地域をまたいで生成されることが、複雑さに拍車をかけています。しかし、データを適切に管理できないと、そのビジネスリスクは効率の低下にとどまらず、意思決定の質が低下し、セキュリティリスクが増大し、競争力が失われるといった深刻な結果につながる可能性があります。
データの複雑さの問題は今日、バックグラウンドだけでなくビジネスの現場にも影響し始めています。最新レポート『データ管理の新たなルール』によると、アジア太平洋地域では、データの増加とコンプライアンスニーズに対応するためにデータ管理に関する支出を前年よりも増やした組織は91%にのぼります。
しかし、その支出は多くの場合、期待したほどの成果をもたらしていません。
実際、71%の組織が、データ管理の不備が意思決定の誤りに直接つながったことがあると認め、62%が、環境のサイロ化とガバナンス不足によってコンプライアンスの問題に直面したことがあると回答しています。その結果は深刻で、46%の組織が、これらの問題によって競争力が低下したと報告しています。
多くの組織が苦戦している要因の1つが、時代遅れのデータ戦略です。多大なコストを費やしてデータを集約するという古いアプローチに依存し、場合によっては、それでもデータサイロが残り、可視性が制限されて、運用の負担が増していることもあります。こうした可視性を断片化させるアプローチは、コストの増大だけでなく、セキュリティリスクとコンプライアンスリスクの増大も招きます。
それこそが根本的な問題です。データの複雑化に合わせて戦略を進化させないと、データは資産ではなく負債になっていきます。
この状況を変えるのが、SplunkとAWSの長年にわたるパートナーシップです。
SplunkとAWSは、10年以上にわたってパートナーを組み、組織がデータをリアルタイムで安全かつ大規模に活用できるように支援してきました。2024年度だけでも、SplunkでのAWS経由のクラウド受注額は10億ドル以上に達します。重要なのは金額そのものではなく、このことが、SplunkとAWSの共同ソリューションが広く受け入れられていることを証明している点です。
この共同ソリューションは今日、さらに進化しています。Splunkでは、中央のシステムにすべてのデータを取り込むのではなく、重要度に基づいてデータを自動的に分類し、フィルタリング、マスキング、転送など、インテリジェントな処理ルールを適用してから、適切なストレージに保存できます。また、統合サーチを利用すれば、Amazon S3内のデータをSplunkに取り込むことなく、直接サーチおよび分析することもできます。
これにより、ストレージコストと処理コストを削減するとともに、管理性とコンテキストを維持したままインサイトをすばやく獲得できます。最終的には、大量データの管理から解放され、データの価値を最大限に引き出すことに集中できるようになります。つまり、すべてのチームが、複雑さを意識せずにデータにアクセスし、インサイトを迅速に獲得できるようになるということです。
データからノイズを排除して価値を創出できるようになれば、AIに対応する準備が整います。AWS上にSplunk環境を構築することで、その基盤を確実に築くことができます。クリーンなデータパイプライン、統合的なアクセス、スマートな階層化により、大量なだけでなく、関連性のある高品質なデータをAIシステムに提供できます。AIの品質は、AIに学習させるデータによって決まります。そのため、データ基盤を強化することは競争力の強化につながります。
象徴的なのが、東南アジアで広く決済プラットフォームを提供する2C2P社の事例です。40万の加盟店を通じて年間20億件以上の取引を処理する同社は、増大するデータを管理し、規制コンプライアンスを確保するために、堅牢で拡張性の高いソリューションを必要としていました。そこでAWS上にSplunk環境を構築し、以下の成果を達成しました。
この変革により、運用効率だけでなく顧客の信頼も向上し、2C2P社は、競争の激しい決済業界でリーダーとしての地位を確立しました。
これは、SplunkとAWSのパートナーシップがデータの混乱の克服に役立ったことを示す数多くの事例の1つにすぎません。SplunkとAWSは、リアルタイムでデータにアクセスし、分析して、アクションにつなげるためのツールを提供することで、組織が情報に基づく意思決定をすばやく行い、イノベーションを次のステージに進められるように支援しています。
AIの導入が加速する中、データインフラに対する要求が高まっています。問題はもはや、最新のアプローチを取り入れるかどうかではなく、どのように取り入れるかです。
そして、その答えは単一のツールにはありません。強力で柔軟なエコシステム、つまり、包括的な可視化を実現して、組織のインテリジェントな拡張、迅速な行動、継続的な適応を支援するエコシステムにあります。
ソウル、シンガポール、シドニーで開催されたAWS Summitでは、それが今どれだけ求められているかがわかりました。Splunkのセッションは満員になり、ブースは活気に溢れ、ビジネスリーダーやテクノロジーリーダーとの会話からは、実用的で拡張性の高いソリューションに対する期待がはっきりと感じられました。生成AIから統合サーチまで、Splunkの機能がいかにコストと複雑さを抑えながらデータ管理を効率化し、AIによる成果を加速させるかについて強い関心が寄せられました。
最後にAWS Summit Tokyoでもブース出展と講演を実施しました。2日間のイベントを通じて、この勢いをさらに感じました。これからもAWSと協力して、アジア太平洋地域のお客様が真のAI対応を実現できるようご支援します。適切なエコシステムを味方に付ければ、データは意思決定の材料になるだけでなく、意思決定の原動力にもなるのです。
SplunkとAWSを活用してデータの価値を最大限に引き出す方法について詳しくは、こちらをご覧ください。
このブログはこちらの英語ブログの翻訳、前園 曙宏によるレビューです。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。