公開日:2022年5月1日
DataOps(データオペレーション)とは、組織のビジネスプロセスに継続的なデータ分析を導入するための概念と手法を表す言葉です。DevOpsでソフトウェア開発プロセスに継続的な開発と改善が組み込まれているのと同じように、DataOpsでは関係者間の協力とコミュニケーションによって可能な限り組織のデータワークフローを効率的に管理して、エンドユーザーがデータを簡単に使用できるようにします。自動化もDataOpsプロセスの重要な要素の1つです。
DataOpsの中核となるのは、データフローを監視して制御する統計的プロセス制御(SPC)と、運用システムを流れるデータを継続的に監視して検証するデータ分析パイプラインです。異常が発生した場合、データ分析チームには自動アラートで通知されます。
DataOpsはまだ進化の過程にありますが、その原則は、DevOpsとアジャイルな手法や開発、そしてデータサイエンスのさまざまな側面から影響を受けています。製造プロセスの開発と同じように、データ分析システムやオーケストレーションシステムも途中のプロセスを検証し、間違いによって残りの分析に歪みが生じないようにする必要があります。DataOpsは、このようなデータ品質管理を行うためのものです。
この記事では、DataOpsが解決する問題、DataOpsのメリット、ビジネス価値、将来の展望のほか、データ主導型の企業を実現するためにDataOpsを導入する方法について説明します。
DataOpsのライフサイクルは、ビジネス要件からビジネス価値に至るまで、企業を包括的にサポートします。
DataOpsの目標は、複数のデータソースから大量のデータが押し寄せ、処理および活用できる容量を超えてしまったときに組織が直面する問題を解決することです。大半の組織が、基本的なデータガバナンスのニーズへの対応に頭を悩ませると同時に、データがもたらす大きなチャンスを活用しようとしています。DataOpsは、こうしたデータの課題を自動化によって解決します。
具体的には、データサイエンティスト、アナリスト、エンジニア、IT部門を含むデータチーム全体のコミュニケーションと協力を強化し改善するように設計されています。データの重要性が高まるにつれ、組織では、生産性を高めながらデータの品質とアクセシビリティを確保するために、反復可能なプロセスの実装がますます求められています。
DataOpsでは、次のことが可能になります。
DataOpsを効果的に適用することで、以下を実現できます。
DataOpsを活用すれば、組織は最終的にデータをより効果的かつ効率的に使用して、実際のビジネス上の問題を解決できるようになります。
「DataOpsプラットフォーム」は、組織がDataOpsプラクティスの一環として使用する一連のツールを表す汎用的な用語です。DataOpsプラットフォームには、一般的に組織のデータパイプラインや、ETL(抽出、変換、ロード)データ管理などの取り込みを自動化するためのアプリケーションに加え、ハイブリッド、マルチクラウド、オンプレミス環境全体でそのデータを配信するために必要なインフラが含まれます。また、ユーザーインターフェイス(UI)も含まれます。ユーザーはこのUIを通じて、サードパーティの手を借りずにデータを収集し、業務を実行するために必要なデータをすばやく見つけることができます。
DataOpsエンジニアとは、組織のDataOpsインフラの構築、保守、運用を任されている担当者のことです。なお、データエンジニアとDataOpsエンジニアという役職名は、同じ意味で使用されることがよくあります。
デジタル化を進めるためにインフラを変革していく過程で、企業は膨大な量のデータをインテリジェントかつタイムリーに移動させる必要があります。DataOpsチームの一員であるDataOpsエンジニアは、企業の情報スタックを監視し、データに基づいた意思決定のための重要な役割を果たしながら、企業がそのデータを運用できるようサポートします。
DataOpsは、実用的なビジネスコンテキストで、有用で高品質なデータをすぐに利用できるようにします。組織がより迅速かつ効果的にデータにアクセスして使用できるようにDataOpsが支援できるユースケースはたくさんあります。一般的なシナリオには次のようなものがあります。
DataOpsのユースケースには、不正行為の検出、データセキュリティ、カスタマーインテリジェンスなど多くのものが含まれます。
データには計り知れない価値がありますが、その価値を引き出すには課題やコスト、混乱が伴います。
現在進行形の問題として挙げられるものに変更管理があります。これは技術的な課題というよりも、社内のチームが部門間でのデータ共有に消極的で、データの信頼性が欠如するという複雑な問題です。
DataOpsはこのような問題にも対応できます。DataOpsは、データ資産を業務に必要な形式で適切なエンドユーザーに提供すること、つまり、データ分析ですぐに使用できる状態にすることを重視しています。技術的な問題に煩わされる時間を減らし、人や文化の問題に取り組む時間を増やすことで、組織はデータ利用者がデータを利用できるようにするだけでなく、ビッグデータへの投資から有意義な成果を得ることができます。
DataOpsとDevOpsは明確に異なる手法ですが、DataOpsはDevOpsの原則を取り入れており、特にアジャイル開発に重点が置かれています。DevOpsは、開発と運用の間で人、手法、ツールを連携させることでチーム間の分断を防ぐITデリバリーのためのアプローチです。DataOpsでは、データがどのように使用され、どのように提供されるのかという点に焦点を当て、ビジネス上の成果に注力できるようにします。DevOpsはアジャイル原則を採用し、チームがアプリケーションとサービスの開発を加速して、IT製品の迅速な導入や更新が行えるようにします。DataOpsも同じアジャイル原則を使用して、エンドユーザーが意思決定を行うのに必要な方法でデータが提供されるようにします。
DevOpsとは、「Dev」(アプリケーションコードを作成するソフトウェア開発)と、「Ops」つまりIT運用(アプリケーションを本番稼動させてエンドユーザーに提供し、保守する)を隔てるギャップを埋めるものです。DevOpsは、それ以前の2つのトレンドであったアジャイル開発とリーン生産方式から生まれました。アジャイル開発は、作業を短く区切って短い間隔で反復することに重点を置き、IT開発組織の即応性を向上させる手法です。リーン生産方式は、工場での無駄の最小化と生産性の最大化を図る手法です。
DataOpsの取り組みを開始した組織は、効率性の向上、より関連性の高いインサイトをはじめとして、多くのメリットを実現しています。DataOpsには主に以下のようなメリットがあります。
取り組みを開始する主な方法として、DataOpsプラットフォームの使用が挙げられます。さまざまなベンダーにより、新しいハードウェアやソフトウェアの販売、DataOpsのプラクティスに従ったデータアーキテクチャやインフラのセットアップの支援、コンサルティングや導入サービスの提供、またはすべてを組み合わせたサービスが提供されています。
DataOpsは比較的新しい分野であるため、実装のための規範となる方法はDevOpsほど多くありませんが、開始にあたっては、以下の簡単なステップに従うことをお勧めします。
多くの組織では、DataOpsコンサルタントまたはデータ専門家のサービスを利用して、DataOpsプラクティスの構築と確立に役立てています。
DataOpsは基本的に、DevOpsを基盤として開発されたコモンセンスに基づく考え方です。今後、データライフサイクル全体においてコラボレーション、協力、コミュニケーションを図ることで得られるメリットが認識されるにつれ、DataOpsプラクティスの普及が進むでしょう。DataOpsの概念がどのように進化するかにかかわらず、この概念がもたらしたプラスの変化は今後も続くと考えられます。
運用の変更、新しいハードウェアやソフトウェア、人員を必要とするデータやITの新しい概念とは異なり、DataOpsは考え方の変化を促し、DevOpsの概念をデータ管理に取り入れます。DataOpsのアプローチを研究して試してみることにデメリットはほとんどまたはまったくありません。DataOpsがもたらす潜在的なメリットを踏まえると、競争力を獲得して維持するためにデータの迅速かつ効果的な活用に注力している組織は、DataOpsについて詳しく学び、自社に適しているかどうかを確認してみる価値があります。
IT/オブザーバビリティに関する予測
驚きに勝るものはありません。すべてを受け止める準備を整えておきましょう。Splunkのエキスパートが予測する、来年の重要なトレンドをご確認ください。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は850を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキスト(把握したい要素) に基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。
日本支社を2012年2月に開設し、東京の丸の内・大手町、大阪および名古屋にオフィスを構えており、すでに多くの日本企業にもご利用いただいています。
© 2005 - 2023 Splunk Inc. 無断複写・転載を禁じます。
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