Splunkは、「2021年の予測~スピードとディスラプションが加速する 世界のリーダーシップ戦略と最新動向」を公開しました。新型コロナウイルスは今も世界中の社会活動に影響を及ぼしています。今後のトレンド予測は困難ですが、データおよびその活用技術が注目されていることから、いくつかの明確なテーマが浮かび上がるとしています。
新型コロナ対応の中でリーダーが注力すべきこと
2020年早々から拡大した新型コロナウイルスのパンデミックは、世界中に影響を与え、さまざまな人の希望を打ち砕きました。一方で、データとデータを活用するテクノロジーは注目を浴びており、そこからいくつかの明確なテーマが浮かび上がります。新型コロナウイルスのパンデミックが始まる前から、すでにData Age(データの時代)に突入していたのです。新型コロナウイルスは、デジタルトランスフォーメーションを大幅に加速させるきっかけとなりました。
「2021年の予測~スピードとディスラプションが加速する 世界のリーダーシップ戦略と最新動向」では、まず激動の時代のリーダー像についての予測「成功する組織は重要なこと(顧客)に集中してビジネスを行う」を取り上げています。経済が不透明な時期には、多くの企業や組織は支出の削減に目を向けます。しかし、自社の中核市場での地位を強化する取り組みに投資を増やす企業は、強気市場への参入に投資する企業よりも、大幅で持続的な利益をあげていることが調査により判明しています。
守りに入りやすい時期だからこそ、企業や組織は積極的に行動するチャンスでもあります。競争に打ち勝つために主要なサービスやテクノロジーの価格を引き下げる企業が出てくるかもしれませんし、企業の買収などが活発になる可能性もあります。公共機関においては、クラウドへ大規模な移行を推進する絶好の機会といえます。ただし、自社の将来像を設計する際には、顧客を中心に据えることが重要です。顧客との距離を縮めたり、カスタマーエクスペリエンスを向上させたりするテクノロジーは絶対に無視できません。エンドユーザーへのITサービスの提供に力を入れることが重要なのです。
リーダーは顧客のことを考えると同時に、従業員のことも考える必要があります。在宅業務でビジネスを続けられることは幸運といえますが、リモートワークには特有のプレッシャーがつきまといます。誰もが疲れ果て、少しいらだっているので、リーダーは普段よりも一歩踏み込んでチームをサポートし、安心させる必要があるといえます。そのためには、コミュニケーションを密にして声をかけ続け、来週、次の四半期、今後12~18カ月と、できるだけ先まで計画を立てることが効果的なのです。
ウィズコロナ時代の人材戦略
第二の予測には、「オンラインファーストの人材戦略が未来を拓く」を取り上げています。新型コロナウイルスの沈静化には時間がかかるとみられており、少なくとも2021年の第3四半期までは日常生活に大きな支障が出ると見込まれています。勤務も基本的にリモートワークが定着していく中で、人材戦略の面ではメリットがあると考えられます。たとえば、非常に専門的でかなりまれなスキルを持つ人材が必要になったとき、世界中のあらゆる地域を対象に求人ができるためです。
また、異なる時間帯の活用により生産性を向上させる、実質的な24時間稼働モデルを設定できる点もメリットとして挙げられます。朝出勤したときには、世界中の別の地域で働く超優秀なエンジニアが、昨晩のうちにすでに多くの仕事をこなしているということも可能になるためです。2021年に新型コロナウイルスから回復する頃には、新しい日常を受け入れ、従業員のワークライフバランスを尊重する共感型の管理スタイルが増えているでしょう。このシフトにより、世界中の地域で生産性が向上することになります。
人材戦略をオンラインファーストで考えるためには、単にビデオ会議やインスタントメッセージのためのプラットフォームを整備するだけにとどまらず、ワークフローや役割、経営戦略を見直すことも含まれます。オフィスに出勤する日常が戻っても、対面の業務を前提にすべてを設計するのではなく、臨時雇用のリモートワーカーがいることを前提にビデオ会議を組み込むことを考える必要があるわけです。
DX推進における課題と求められること
第三の予測には、「DX(デジタルトランスフォーメーション)はさらに加速し、その勢いは衰えない」を挙げています。テクノロジーに関するすべての予測を1文で言い表すと、「ソフトウェア主導の傾向は人々が考えるよりももっと急速に進む」としています。つまり、私たちが今後1~2年の間に目にするさまざまな変化はすべて、超精力的なDXの影響下にあるということです。
DXにはデータの活用が必須ですが、その実現には別の課題を生み出します。それは、企業や組織が所有するデータの多くが未活用の「ダークデータ」である。つまり、多くのデータが把握されていない、あるいは孤立している、未活用で、おそらくセキュリティ保護されていなかったり、コンプライアンスに準拠していかったりすることです。
DXの成功は、エンタープライズアーキテクトが現実の課題に適応できるかどうかにかかっています。企業や組織に変化を促し、後押しするには、アーキテクトがITシステムの実装を理解し、ビジネスチームが理解できる言葉で説明できる必要があります。そのためには従来とは異なるITスキルセットが求められるでしょう。
リモートワークの増加で注目される「ゼロトラストセキュリティ」
「2021年の予測」において、IT運用、データセキュリティ、エマージングテクノロジーは、別冊としてレポートが公開されています。データセキュリティでは、7つの予測を取り上げています。詳しくはそちらをご覧いただくとして、ここではその中から「ゼロトラストセキュリティ」について紹介します。
リモートワークの普及によって、企業や組織のITセキュリティは、ネットワークの境界でデータを保護する従来のセキュリティの考え方が破綻しつつあります。そこで、「ゼロトラストセキュリティ」という考え方が注目されています。
ゼロトラスト戦略では、従業員からのアクセスをITチームが管理するデバイスに限定し、各従業員のアクセスレベルとアクセス範囲、および機密データにアクセスできるデバイスを制限します。たとえば、従業員は、許可された業務用パソコンからはアクセス権を持つすべての社内データとアプリケーションにアクセスできますが、個人所有のデバイスからはメールやチャットにしかアクセスできないようにします。
適切なエンドポイントポリシーを適用することによって、セキュリティをネットワークから切り離し、未許可で安全性の低いデバイスにデータが保存されるリスクを減らすことができます。組織によっては、オフィス勤務の全従業員を一晩でリモートワークに切り替える必要がありましたが、これによりVPNの負荷が急増し、業務に支障が出るほどになりました。そこでクラウドの導入が進みましたが、社内システムへのアクセス方法の変化はセキュリティへの懸念を生みます。それを解決するのがゼロトラストであるとしています。
「2021年の予測~スピードとディスラプションが加速する 世界のリーダーシップ戦略と最新動向」はこちらからダウンロードできます。ぜひご覧ください。
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福島 徹