ガートナー社 2025年 SIEM部門のマジック・クアドラント
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テクノロジーリーダーたちは今、臨界点に立たされています。組織の運営に不可欠なデジタルエコシステムが、同時に組織の脆弱性の要因となっているのです。実際、AIの普及によってリスクが慢性化しています。サードパーティサービスからAIエージェントまで、エコシステムを構成するすべてのつながりが障害点になり得ます。1つの障害が、技術的な不具合にとどまらず、組織全体に脅威をもたらすようになり、その損害は危機的なレベルに達しています。
2026年、世界のグローバル企業の年間のダウンタイムコストは総額でどのくらいになると思いますか?Splunkの最新調査レポート『ダウンタイムの隠れたコスト』では、フォーブスグローバル2000企業の2,000人の経営幹部にアンケートを行った結果、ダウンタイムコストが年間で総額6,000億ドルにのぼることがわかりました。わずか2年間で実に50%の増加です。これは、1社あたりでは年間3億ドルとなる計算です。つまり、収益の損失、規制違反の罰金、ランサムウェア攻撃の身代金などを含めた、障害発生中の1時間あたりの損失は90万ドル以上に上ります。
しかもそれは、あくまでも障害の直接的なコストに限った数字です。インシデントの解決後も、ブランドイメージの低下や製品リリースの遅れなどの隠れたコストが長期にわたって成長を阻害し、市場での地位を低下させます。そのため、障害自体は短期間で収まっても、その影響は長く尾を引きます。
組織のリーダーとしてはもはや、インシデントが発生してから対処するだけでは不十分です。レジリエンスに優れた組織は、復旧対策を強化するだけでなく、予測に基づいてインシデントに未然に対処する耐性基盤を築くことで、安定性を競争力につなげています。以下では、調査で明らかになった重要ポイントをご紹介します。
直接的なコストに該当する項目の大半が2024年から2026年にかけて増大しています。たとえば、規制違反の罰金(5,100万ドル)とランサムウェア攻撃の身代金(4,000万ドル)は、いずれもほぼ3倍になっています。その要因として、GDPRやDORAなどの規制がより厳格に適用されるようになっていることと、高度なランサムウェア攻撃が増加していることが挙げられます。
しかも、障害の影響を受けるのは財務面だけではありません。ダウンタイムは組織のブランドイメージや株価にも影響を与えます。たとえば調査では、テクノロジーリーダーの90%が、カスタマーサポートへの問い合わせが増加したと回答しています。サービスが停止すると、サポートへの問い合わせが急増し、顧客の不満が高まります。顧客や従業員に直接影響が及ぶ場合、それはビジネス全体の危機につながります。これだけの影響があると、マーケティング部門幹部の20%が、インシデントの修復後、ブランドイメージを回復するまでに1四半期はかかると回答しているのもうなずけます。
おそらくこうした理由から、ダウンタイムは重大な財務リスクと捉えられるようになり、調査では、1回のダウンタイムで株価が平均3.4%下落することも明らかになりました。今日ではダウンタイムは、インフラの老朽化やリスクガバナンスの不備など、組織全体の問題として認識されています。
マーケティング部門幹部の約20%が、インシデントの修復後、ブランドイメージが回復するまでに1四半期はかかると回答しています。
ダウンタイムのリスクは、内部の脆弱性、外部からの脅威、サードパーティ依存の不安定さなど、テクノロジースタックのあらゆる場所に潜んでいます。そのため、障害を回避することはますます困難になり、組織では、セキュリティ、アプリケーション、インフラ、ネットワーク全体で年間平均60件のインシデントが起きています。

調査では、ダウンタイムの最大の原因は人的ミスであることもわかりました。IT環境が複雑化し、新たな盲点や障害点が増えることで、ソフトウェアの設定ミスやコードの誤りなどの問題が起こりやすくなっています。
データの統合、AIドリブンの自動化、コラボレーションプラットフォームの導入による、ドメイン横断のアプローチは、インシデントの検出、調査、解決方法の変革だけでなく、人的ミスの最小化にも役立ちます。人間による監督とコンテキストの明確化を組み合わせることで、AI自体のオブザーバビリティも確保できます。このアプローチにより、セキュリティ運用チーム、IT運用チーム、ネットワーク運用チーム間のシームレスなコラボレーションを促進して、情報とコンテキストを共有することで、設定ミスを防止し、意思決定の精度を向上させ、デジタルレジリエンスの強化と運用の俊敏性向上につなげることができます。
調査では全体として、ダウンタイムの発生頻度が高止まりしていることが明らかになりました。これは、組織がレジリエンス戦略を見直す必要があることを示唆しています。一方で、IT運用リーダーやエンジニアリングリーダーの72%が、インフラのレジリエンスを強化するための最優先投資対象としてエンドツーエンドのオブザーバビリティを挙げている点は明るい兆しです。
ダウンタイムへの対処にエージェント型AIを使用していると回答したテクノロジーリーダーの割合は44%にのぼります。エージェント型AIはすでに、インシデント対応において、自律的に問題を診断し、一般的な修正を実行することで、手動による調査にかかる時間を大幅に節約し、高い実績をあげています。
ただし、AIを利用している組織の56%がAIの導入によってダウンタイムのリスクが軽減されたと評価する一方で、調査対象となったすべてのテクノロジーリーダーがAI関連の障害を何らかの形で経験したことがあると認めています。これには、AIドリブンの自動化の不備(50%)や、モデルのドリフト(50%)のほか、プロンプトインジェクションやデータ汚染などの敵対的攻撃(26%)が含まれます。
調査では、AIを利用している組織の56%が、AIの導入によってダウンタイムの全体的なリスクが軽減されたと回答しています。しかし、回答したすべてのテクノロジーリーダーは、AI関連のダウンタイムを何らかの形で経験したことがあると認めており、この点においてもAIが諸刃の剣であることが示されました。
組織はAI導入を慎重に進める必要があります。信頼できなければ、活用することはできません。AIは、ダウンタイム対策に役立ちますが、本質的に不確実性をともなう技術です。実際、調査ではテクノロジーリーダーの68%が、AIエージェントが予測不能な動作をして障害が発生することを懸念しています。だからこそ、AIのオブザーバビリティを確保し、重圧の下でも柔軟に対応できるシステムを構築して、人間による監督下でAIを取り入れることが、真のデジタルレジリエンスの実現に欠かせないのです。
ダウンタイムは避けられませんが、その頻度や影響は抑えることができます。エージェント時代に突入し、安定性は今後、真の競争優位性になるでしょう。インシデント後の復旧対策のみにとどまらず、予測を取り入れた組織運用の耐性基盤を築くことで、ブランドイメージを守り、顧客満足度を維持し、AIがもたらす混乱やダウンタイムの慢性的な脅威に対抗できる、持続的な成長基盤を築くことができます。
調査結果に関する詳しい考察と、組織が損失を最小限に抑えて運用の安定性を築くための推奨事項については、『ダウンタイムの隠れたコスト2026』をご覧ください。
このブログはこちらの英語ブログの翻訳、今村 千寿によるレビューです。